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2025年06月13日金曜日
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【もはや、高いだけ?】アップル、12年ぶり「大刷新」発表も…Siriは延期、AI戦線では完全に乗り遅れ

アップル、WWDC25で新OSを発表 12年ぶりのiOS大刷新

ビジョンプロ着想の「リキッドグラス」デザイン公開

個人化Siriは「公開まで時間必要」

ファウンデーションモデルでAIへのアクセスも簡易化

アップルは6月9日(現地時間)、世界開発者会議(WWDC25)を開催し、iPhoneやMacBookに搭載されるiOSを12年ぶりに全面刷新したと発表された。

今回のイベントでは、注目を集めるような新製品や革新的なAI技術の発表は見送られたことから、アップルは当面の間、AI競争で他社に後れを取る可能性があるとの見方も出ている。

引用:depositphotos
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「個人化されたSiriの公開には時間が必要」…アップル、「リキッドグラス」OSデザインを披露

同日、米カリフォルニア州クパチーノの本社で開催されたWWDC25において、アップルのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長クレイグ・フェデリギ氏は、今年公開を予定していたSiriのアップグレード版について、発表が延期されていることを明らかにした。

フェデリギ氏は「Siriは大きく進化し、より自然で実用的な存在となった」と述べた上で、「ご存じのように、私たちはSiriがユーザーの個人的な文脈をより的確に理解できるよう取り組んでいる」と説明した。

さらに「私たちが掲げる高い基準に到達するには、なお時間を要する」とし、「この件については今後も継続的に情報を提供していく」と付け加えた。

アップルは当初、音声アシスタントのSiriに生成AIを導入し、より個人化されたAIへと進化させる方針を示していたが、計画通りには進まず、現時点では正式な発表に至っていない。

その代わり、この日アップルはiOSの大規模な刷新を発表した。新しいソフトウェアデザインは、「ビジョンプロ」ヘッドセットに着想を得たもので、「リキッドグラス(Liquid Glass)」と命名された。

リキッドグラスが適用された新OSは、従来よりも躍動感に富み、動的に変化することで、コンテンツへの集中を促す設計となっている。通知画面もこれまでのように背景を完全に覆うのではなく、半透明の表示により背後の画面が透けて見えるような仕様へと変更された。

引用:depositphotos
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新デザインは、iOS 26、iPadOS 26、macOS Tahoe 26、watchOS 26、tvOS 26など、すべてのプラットフォームに初めて一貫して適用され、それぞれのOSが持つ特徴を保ちながらも、より統一感のあるデザインが実現されている。iPad、Apple Watch、Apple TV、Vision Proなど、アップルの全デバイスに順次適用される予定である。

アップルによるリキッドグラスの導入は、iPhone向けOS「iOS 7」がリリースされた2013年以来、実に12年ぶりとなる大規模なソフトウェア刷新である。アップルはiOS 7以降、現在のアイコン中心のUIを長らく維持してきた。

また、今後はOS名称をリリース年に合わせて「iOS 26」のように統一する方針を打ち出した。新OSは、アップルの新会計年度が始まる今年10月から順次展開される予定である。

アップルのヒューマンインターフェースデザイン担当副社長アラン・ダイ氏は、「アップルはこれまでも一貫して、技術とのインタラクションを直感的かつ美しく、楽しいものにするため、ハードウェアとソフトウェアの深い統合を追求してきた」と述べた。そのうえで「ガラスの光学特性と、アップルならではの流動的なデザイン性を融合させることで、コンテンツや状況に応じた変化を実現した。これにより、未来の新たな体験の基盤が築かれ、最も単純な操作でさえ、より楽しく、まるで魔法のような体験になるだろう」と語った。

「開発者がアップルAIへ直接アクセス可能に」ファウンデーションモデルフレームワークを発表

アップルが今回発表した「ファウンデーションモデルフレームワーク」は、世界中の開発者に対し、オンデバイスAI機能への直接的なアクセスを可能にするものであり、大きな意味を持つ。

この発表は、単なるAI環境の変革にとどまらず、クラウドAIへの依存度が高まる現代において、プライバシー保護、処理速度、オフラインアクセスといった観点を重視するアップルの競争姿勢を明確に示すものとなった。

ファウンデーションモデルフレームワークでは、開発者がiOS、macOS、iPadOSなどに組み込まれたアップルの大規模な言語・AIモデルに直接アクセスすることが可能となる。これにより、リアルタイム翻訳、ビジュアルインテリジェンス、画像生成機能「Image Playground」など、さまざまな機能をアプリ内でローカルに実行できる。常時インターネット接続が不要である点で、クラウド依存型AIを掲げる競合他社とは一線を画している。

引用:アップル
引用:アップル

ファウンデーションモデルフレームワークの特徴は、①オフライン機能、②プライバシー保護を重視した設計、③開発者に配慮した統合構造、である。まず、インターネットに接続しなくてもAI処理が可能なため、帯域幅の狭い地域でも高いアクセス性と安定性を確保できる。また、すべてのAI演算が端末内部で行われることから、ユーザーデータがデバイス外へ流出することなく、プライバシー重視の環境に適している。さらに、アップルが推奨するプログラミング言語「Swift」を簡単にアクセス可能なこのフレームワークは、複雑さを最小限に抑えながら高度なAI機能をアプリに組み込む工程を簡素化している。

たとえば、人気のジャーナリングアプリ「Day One」は、ユーザーの入力をもとにカスタマイズされたライティングプロンプトや、知的なコンテンツ提案を行う。これらはすべてプライバシー保護の観点からオフラインで処理される仕組みとなっている。

ハイキング地図アプリ「AllTrails」もAIを活用し、個人に最適化された登山ルートを提案するほか、リアルタイムで環境に関する洞察も提供する。クラウド接続に依存せず、自然言語による検索と応答が可能である点が特徴だ。

このほか、AIによるスパムブロック機能や、ChatGPTを利用して構築された「画像プレイグラウンド」アプリの活用例も紹介された。

スパム電話や迷惑メッセージを事前にブロックする「スクリーニング」機能も新たに追加された。不明な番号から着信があった際、iPhoneは着信音を鳴らさない。発信者が留守番電話に通話目的や名前を残した場合、その内容をリアルタイムでテキストに変換し、ユーザーに通知する仕組みである。

画像プレイグラウンドでは、特定の絵文字や画像の生成が可能であり、既存の写真のスタイル変更も、アプリ内でChatGPTに直接指示を出すことで実現できる。

しかし、こうしたAI技術の発表にもかかわらず、市場の反応は冷ややかだ。この日、アップルの株価は前日比1.21%安の201.45ドル(約2万9,000円)で取引を終えた。

ブルームバーグは、「昨年のWWDCでアップルが『Apple Intelligence Platform』を公開して以来、新機能のリリースに消極的な姿勢が見られ、シリコンバレーの競合他社に比べて技術力でも後れを取っている」と指摘している。

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