
内閣府が昨年10~11月に60歳以上の男女2,188人を対象に行った調査で、「収入のある仕事に就いている」と答えた人が42.7%と4割を上回ったと、毎日新聞が11日報じた。2019年の前回調査から5.4ポイント増加し、初めて4割を超えた。
報道によると、仕事を続ける理由では「収入のため」と答えた人が55.1%で最も多かった。次いで「働くのは体に良いから、老化を防ぐから」(20.1%)、「自分の知識・能力を生かせるから」(12.4%)の順だった。
何歳まで働きたいかという質問には、「65歳くらいまで」が23.7%、「働けるうちはいつまでも」が22.4%と高い割合を示した。
2021年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法では、企業は70歳まで働ける環境を整える「努力義務」を負う。60歳の定年は変わらないが、希望者には働き続ける機会を提供する必要がある。総務省によると、年金受給年齢である65歳以上の労働人口は昨年時点で946万人で、全体の13.6%に達する。
収入のある仕事に就く高齢者が増えている背景には、物価上昇と独居高齢者の増加があると朝日新聞は分析した。内閣府の調査で現在の経済状況を尋ねたところ、「家計にゆとりがなく、多少心配」(21.8%)、「家計が苦しく、非常に心配」(9.0%)との回答が30.8%を占め、2019年調査時の25.4%から増加した。「心配」と答えた人の年齢・性別を見ると「75歳以上の女性」が32.0%で最も多く、家族形態では「一人暮らし」が41.5%と大半を占めた。
経済面での今後の不安要素としては、「物価上昇」(74.5%)、「収入・貯蓄不足」(47.1%)、「自力で生活できなくなり、引っ越しや有料老人ホーム入居の費用がかかること」(43.1%)などが挙がった。高齢者の経済状況などに関する調査は5年ごとに実施され、今回の調査結果は前日の閣議で承認された2025年版高齢社会白書に盛り込まれた。