
ドナルド・トランプ大統領が15日(現地時間)、カナダで開幕する主要7カ国(G7)首脳会議に出席する。今回のG7首脳会議は、トランプ発の関税戦争による貿易摩擦、イラン・イスラエル間の衝突、ウクライナ戦争の長期化などにより国際社会の不安定性が頂点に達する中で開催される。
トランプ大統領は出国前、ホワイトハウスで記者団と会見し、G7首脳会議で良好な貿易和解が発表される可能性について、「我々は非常に良い和解策を持っている。我々がすべきことは書簡を送ることであり、それ(関税)は相手が支払うべきものだ」と述べた。これは、貿易交渉で進展が見られない国に対し、米国が定めた相互関税率を一方的に通知する方針を再確認したものと解釈される。
今回の会議に出席するG7加盟国および「オブザーバー」として招かれた韓国、オーストラリア、インドの首脳もトランプ大統領との個別会談を模索し、二国間の貿易協議に注力すると見られる。英国を除くこれらの国々は、依然として米国と関税交渉を続けている。相互関税の猶予期間が終了する7月9日以降の延長の可否が注目されている。
中東危機を悪化させているイラン・イスラエル間の衝突は、今回の会議の主要議題として浮上している。しかし、G7レベルでの統一した対応はおろか、共同声明の発表さえ困難との見方が出ている。トランプ大統領は当日、イスラエル防衛のための支援を約束し、「我々がイスラエルとイラン間の紛争に介入する可能性がある」と述べ、米国の仲介意思を明らかにした一方、欧州諸国は事態の拡大防止を優先している。
ウクライナ戦争の解決策を巡っても激しい攻防が予想される。会議にはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も出席する。欧州はウクライナ支援や対ロシア制裁を重視しているが、トランプ大統領はロシアのウラジーミル・プーチン大統領との直接交渉による解決を望んでいる。
このように、今回のG7の舞台はドナルド・トランプ大統領の復帰後に加速している同盟国との関係、さらには世界の安全保障・通商秩序の亀裂を如実に示すことになりそうだ。特に多国間機構に懐疑的な立場を取るトランプ大統領の下で、G7レベルでのグローバル協力は試練に直面する。
カナダ政府関係者は、例年のような包括的な内容を含むG7首脳共同声明への期待も放棄したとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。ただし、外国勢力の選挙介入、国境を越える犯罪、重要鉱物のサプライチェーン強化などのテーマ別の成果は出る可能性があるとWSJは伝えている。
また、トランプ大統領が就任直後からカナダの米国51番目の州編入を主張していることから、会議場周辺で反トランプの声が上がるとの見方もある。AP通信は「トランプは今回の会議の不確定要素だ」とし、「他の首脳たちが関税賦課を阻止するためにトランプと対話を望んでいるため、今回の会議は団結を示すよりも一連の二国間協議に終わる危険性がある」と指摘した。