
北朝鮮が約6,000人規模の戦後復興要員をロシアに追加派遣する方針を固めたことについて、今後の米朝核交渉を見据えた計画ではないかとの見方が出ている。米国との核問題を抱える北朝鮮にとって、ロシアという強力な後ろ盾を確保しておく狙いがあるという。現在、核開発を進める中で政権崩壊の危機に直面しているイランのような状況に陥らないようにするという、北朝鮮の思惑が背景にあるとされる。
米国とイスラエルは、イランが核放棄を拒否した場合は政権交代も辞さない構えを見せており、北朝鮮は同じ轍を踏まぬよう、ロシアとの結束を強めているとみられる。
18日、北朝鮮事情に詳しい関係者によれば、国連制裁決議違反の懸念があるにもかかわらず、北朝鮮がロシア西部のクルスク地域に第3次として約6,000人規模の人員を派遣する計画を進めているという。これは、将来の米朝核交渉においてロシアからの直接・間接的な保護を得るための「同盟強化」の一環と受け止められている。加えて、ロシアとの密接な関係を通じて、金正恩体制の安全保障を強固にする意図もあるとされる。
韓国の慶南(キョンナム)大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「現在の北朝鮮とロシアの関係は前例にないほど密接だ。金正恩総書記がプーチン大統領と頻繁に親書を交わし、ロシアの政策に無条件の支持を示しているのは、トランプ大統領の親書を拒否した態度とは対照的だ」と指摘した。「イスラエルとイランの戦争という地政学的状況の中で、金正恩総書記はロシアとの連携を通じ、軍事・経済的利益の最大化を狙っている」と説明している。
また、イム教授は「クルスク支援は、戦時および復興プロセスにおいて北朝鮮が主導的な役割を果たしていることをアピールする狙いがある」とし、「それによって米国に対する牽制力や交渉力の強化にもつながるだろう」と述べた。
クルスクのインフラ再建支援は、単なる実務的な人員派遣にとどまらず、北朝鮮とロシアの同盟関係における戦略的な方向性を示すものであり、金正恩総書記の政権維持のための構想が含まれているという。工兵や建設要員の派遣は、北朝鮮・ロシア条約第4条(相互軍事支援)に基づく具体的な履行事例であり、最高指導部レベルの承認が必要とされている。
韓国の北韓大学院大学ヤン・ムジン教授は「北朝鮮は依然として休戦状態にあり、内部の不安や米朝対話を控えた状況下で、制裁違反との批判を避けるために派遣の事実を曖昧にしている」と説明した。実際、北朝鮮は公式にはロシアへの追加派遣に言及を控えている。
ただし、ロシア現地メディアは、北朝鮮が地雷除去部隊1,000人と復興建設団5,000人の派遣に合意したと報じている。
また、ヤン教授は「プーチン大統領は戦争終結を控え、クルスクのロシア化を内外に示すため、高品質な復興人材を必要としている。一方、金正恩総書記は戦後復興の主導権確保と外貨獲得を目指して軍の建設部隊派遣に積極的だ」と分析している。
両国は30年近く中断していた平壌(ピョンヤン)・モスクワ間の直行便も、近いうちに再開される見通しで、これを機に金正恩総書記のロシア訪問についても本格的に和解されるとみられている。