
19日(現地時間)、親イスラエル系とされるハッカー集団が最近、イランの暗号資産取引所をハッキングしたと主張し、同国政府にとって致命的な一撃となる可能性があると、暗号資産専門メディア『コインデスク』が報じた。
イラン当局は、長年にわたり暗号資産取引所を通じてテロ資金を調達してきたとされており、今回の攻撃は国家の資金源に直接打撃を与えるものとみられている。
『ロイター』など複数のメディアによると、標的となったのはイラン最大の暗号資産取引所「ノビテックス」で、9,000万ドル(約130億9,458万円)相当の資産が流出したと報告されている。
「ゴンジェシュケ・ダランデ」と名乗るハッカー集団は、SNS「X(旧Twitter)」上で「我々がノビテックスに対するサイバー攻撃を実行した」と犯行を認めた。
同集団は「ノビテックスはテロ資金調達におけるイラン政権の中枢的存在であり、政権が最も重宝している手段だ」と主張した。
中東地域の緊張が高まる中での今回の攻撃は、イランが国際制裁の回避手段として活用してきた暗号資産による資金調達能力を封じ込める意図があるとされる。今後、イランは資金確保の手段において深刻な制約を受ける可能性がある。
イランは人権侵害や核開発問題などを理由に、長年にわたり国際社会から制裁を受けており、暗号資産市場への依存度が高い。米国は1979年のイラン革命直後から、EUは2011年から対イラン制裁を実施している。
注目すべきは、ハッカー集団が盗んだ資金を自らの口座に移すのではなく、イスラエル関連の口座に送金した点である。これにより、金銭目的ではなく政治的目的による攻撃であったことが明確となった。
イスラエル政府はこのハッカー集団との関係を公式には認めていないものの、イスラエル国内の一部メディアは「ゴンジェシュケ・ダランデ」がイスラエルと関係していると報じたことがある。