
21日(現地時間)、米国が攻撃したイランの主要核施設3か所の被害状況について、米国とイランの主張が食い違っている。
ドナルド・トランプ米大統領は爆撃直後の21日、自身のSNSであるトゥルース・ソーシャルで「今回の攻撃は非常に成功した」とし、「イランの主要核濃縮施設は完全に破壊された」と主張した。
トランプ支持のメディアとされる フォックス・ニュース も「フォルド施設にバンカーバスター12発が投下され、これは地下のすべての核関連施設が完全に破壊されたことを意味する」と報じ、「事実上フォルドは消滅したと言っても過言ではない」と伝えた。
しかし、イランは異なる主張を展開した。
イランのメフディ・モハマディ国会議長補佐官は21日、Xで「イランはここ数日間フォルド施設への攻撃を予測していた」とし、「そのため核施設を退避させており、今回の攻撃による回復不可能な被害はなかった」と反論した。
実際、22日 ワシントン・ポスト は「米国がフォルド核施設を攻撃する2日前の19日、特異なトラックと輸送車両の動きが確認された」と報じた。
米国の民間衛星画像会社マクサー・テクノロジーズが19日に撮影した衛星写真によると、貨物トラック16台がフォルド核施設の進入路に並んでいた。

20日に撮影された写真では、トラックの大半がフォルド核施設から1km離れた北西方向に移動し、少数のトラックとブルドーザーのみが核施設の進入路に残っていた。そのうち1台は核施設の入口近くに駐車されていた。
トラックが爆撃に備えて核施設を強化する補強工事のために投入されたのか、イランの主張通り核物質を移動させたのかは不明だ。
ただし、この日イラン国営放送(IRIB)は「フォルドを含む3つの核施設はすでに一定期間前に退避措置が取られており、濃縮ウラン在庫は該当地域から全量移転された。放射性物質の漏洩リスクは存在しない」と報じた。
イランのモハマド・マナン・ライシ議員も米国の空爆後、イラン・ファルス通信に「フォルド施設は深刻な損傷を受けていない」とし、「被害はほとんど地上部分に限られ、復旧可能だ」と語った。
専門家たち「バンカーバスター、核施設まで到達しなかった可能性」
一部では、フォルド核施設が完全に破壊されたというトランプ大統領および米国メディアの主張を裏付ける証拠がない中、バンカーバスターがフォルド核施設まで到達しなかった可能性が指摘されている。

米国が今回のイラン攻撃に使用したバンカーバスターが地下60mまで貫通できるのは事実だが、フォルド核施設はそれより深い地下80~90mに位置しているためだ。
サウジアラビアも米国の攻撃後、湾岸地域で放射能の影響が検出されなかったと発表した。国際原子力機関(IAEA)も空爆約5時間後に外部放射能値の上昇が報告されていないことを確認した。
イランが2006年から秘密裏に建設したフォルド核施設は、6年後の2012年にウラン濃縮活動を開始した。建設費用は17億ドル(約2,500億円)と推定され、約3,000基の遠心分離機が設置されており、毎月30~35kgの60%高濃縮ウランを生産できる。これを90%に濃縮すれば核兵器の製造が可能になる。米国とイスラエルは、イランが核弾頭9個を製造できるだけのウランを濃縮したとみている。
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