
イランが米軍による空爆で国内の核施設に深刻な損傷が発生したことを初めて認めた。これまで攻撃の影響を一切否定してきたイラン政府が、ついに沈黙を破った形となる。
カタールを拠点とする『アルジャジーラ』によれば、イラン外務省のエスマイル・バガイー報道官は25日(現地時間)のインタビューで「我々の核施設は大きな被害を受けた。繰り返される攻撃により損傷は確実だ」と明かした。ただし、具体的な被害の程度や対象となった施設名などについては「技術的な問題だ」として、詳細を語ることは避けた。
問題の空爆は今月22日、アメリカ軍が13.5トンにもおよぶ巨大貫通爆弾バンカー・バスターを含む爆弾を集中的に投下し、フォルドーやナタンツ、イスファハンといった主要核施設を標的にしたもの。今回の発言は、イランがそれに対する被害を公式に認めた初のケースとなる。
これまでイラン側は「核施設への被害は軽微」「濃縮ウランは事前に他所へ移送済み」と主張してきたが、実際の損害状況は隠し切れなかったようだ。イラン原子力庁(AEOI)を含む関係当局は現在、被害の詳細を調査中であり、モハマド・エスラミ庁長も「被害規模の評価作業を進めている」とコメントしている。
さらにイランは、当面アメリカとの直接対話には応じない方針も明確にした。バガイー報道官は「アメリカは数か月にわたって矛盾した発言を繰り返し、外交的解決を語りながらも、イスラエルによるイラン攻撃を黙認してきた」と非難し、「本気で外交を望んでいるのかを見極めるまでは、我々は対話に応じるつもりはない」と断言した。
その一方で、イランは平和的な核エネルギー利用の権利については変わらず維持する構えだと強調し、「我々の核開発はNPT(核兵器不拡散条約)の枠組みの中で続けられる正当なものである」と主張。今回の空爆については「国際法、外交、倫理に対する重大な侵害であり、国際社会がまず非難すべきはアメリカの違法行為だ」と強い言葉で糾弾した。
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