暗号資産ビットコイン(BTC)の上昇傾向は続いているものの、重要な支持レベルが崩壊した場合には、急激な下落圧力が生じる可能性があるとの分析が示された。

オンチェーンデータ分析企業グラスノード(Glassnode)は最新の報告書で、ビットコインが9万3,000ドル(約1,340万6,350円)から10万ドル(約1,441万5,430円)の価格帯を支持線として上昇構造を維持していると分析した。
しかし、この価格帯が崩れた場合、売り圧力が強まり、市場全体で大幅な調整が避けられないと予測している。
グラスノードは「Cost Basis Distribution, CBD」ヒートマップを用い、この価格帯の重要性を強調した。この指標は、投資家がどの価格帯でビットコインを購入し、どれだけの量を保有しているかを視覚化したものだ。特定の価格帯に買い注文が集中している場合、その水準が支持線または抵抗線として機能する可能性があり、市場心理や取引パターンを間接的に示唆する。
グラスノードは「9万3,000ドルから10万ドルの価格帯は構造的に重要な支持領域であり、このレベルが維持される限り、上昇トレンドは有効だ」と指摘した。
一方で「この価格帯を下回り、同水準で購入した投資家が損切りを始めれば、売り圧力が増大し、より大きな調整につながる可能性がある」と警告した。
29日午前10時30分現在、ビットコインは前日比0.47%高の10万7,400ドル(約1,548万6,617円)で取引されている。過去最高値を更新した後、横ばい圏で推移している。
グラスノードはこれに関連して「収益性の指標とオンチェーン活動がともに鈍化しており、現在の市場は調整および統合局面にある」と分析した。
投資家の参加が減少し、ボラティリティが低下する中で、新たな原動力や需要の流入がなければ、史上最高値の更新可能性も限られるとの見方だ。
グラスノードは今年5月ビットコインが史上最高値を記録した際、現物取引量が過去の上昇局面と比べて低かった点も指摘した。これは上昇が強い買い需要に支えられていなかったことを示しており、現在の価格水準が過熱気味で、持続性に欠ける可能性があるとの懸念につながっている。
暗号資産メディア「デイリーホドル」などによると、ビットコインの今後の動向は、支持線の維持、オンチェーン活動の回復、そして収益性の改善など、複数の要因に左右されると見られている。
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