
デンマーク議会は6月初旬、女性も徴兵対象とする法案を可決し、7月から施行される。これまでは18歳以上の男性のみが徴兵対象で、女性は志願した場合に限り軍務が可能だった。7月1日からは男女ともに徴兵対象となり、軍服務期間も従来の4か月から11か月に延長される。
この措置は、ロシアの侵略の脅威と北大西洋条約機構(NATO)加盟国の軍事投資増加を背景としている。デンマークは比較的安全な国と見なされてきたが、ロシアのウクライナ侵攻はデンマークにも脅威となっている。
デンマークは当初、2024年の主要防衛協定の一環として2027年に徴兵における性平等改革を実現する計画だったが、今夏に前倒しで実施することになった。これに関連し、今年の2月には70億ドル(約1兆63億円)規模の基金を設立し、軍の強化計画を発表した。また、今年の国防費を国内総生産(GDP)の3%以上に増額すると表明した。
ただし、男女ともに徴兵対象になるからといって、全員が入隊するわけではない。志願者が多いため、すべての徴兵対象者は抽選によって徴兵の可否が決定される。昨年、志願入隊した女性はデンマーク全軍の約4分の1を占めた。徴集された場合、5か月間の基礎軍事訓練を受けた後、残りの6か月は軍務に就きながら追加訓練を受けることになる。
人口600万人のデンマークの軍事力は約9,000人である。徴兵対象の拡大により、昨年4,700人だった年間徴集兵は2033年には6,500人程度に増加すると予想されている。これにより、デンマークはノルウェー、スウェーデンに続き、欧州で3番目に女性徴兵制を導入する国となる。
注目の記事