
北朝鮮がロシアへの派兵によって死亡したとされる兵士の遺体送還シーンを遅れて公開した背景に、「軍の士気向上」や「国内の結束強化」、さらには「ロシアへの圧力」があると韓国政府は分析している。
1日、韓国統一省はソウルで記者団に対し、前日に『朝鮮中央テレビ』が放送した映像に言及。映像には、4・25文化会館とみられる場所で開かれた芸術公演の背景に、金正恩総書記や崔善姫外相らが棺に国旗をかけたり、悲しげな表情で棺に触れたりする写真が使われていた。
政府関係者は「追加の派兵が予定されている状況で、戦死者への敬意をあえて演出することで軍内部の士気を高める狙いがある」と説明。また、「これまで非公開だったロシア派遣に対して動揺が広がっていたという情報もあり、住民の不満を抑える意図も読み取れる」と語った。
さらに「映像では戦争への派遣の実態と、金正恩による追悼の姿を並べて見せており、ロシアに対しては『これだけの犠牲を払っている』というアピールとともに、それに見合った見返りを要求するメッセージだろう」と指摘した。
北朝鮮はウクライナ戦争を通じてロシアとの軍事協力を深めているとされており、今回の映像公開も、単なる内部向けの演出にとどまらず、モスクワへの政治的シグナルと見る向きが強まっている。
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