
1日、タイ憲法裁判所はペートンターン・シナワット首相に対する職務停止を決定した。問題となったのは、カンボジアのフン・セン上院議長との電話の中で、タイ軍幹部を「反対陣営の人間」と呼び、フン・セン氏を「叔父」と呼んでいたことが報じられた件だ。
保守系上院議員36人は、通話内容が報道機関に流出した直後、首相の発言が国家の安全保障と憲法倫理に反するとして、憲法裁判所に解任を求める申し立てを行った。憲法裁は最終判断が下るまでの間、首相の職務を停止すると発表した。
ペートンターン首相は「外交交渉の一環だった」と釈明したが、批判の声はやまず、首都では数千人規模の反政府デモが発生。隣国との微妙な関係が続く中、政権の発言がもたらす影響の大きさが浮き彫りとなった。
そんな中、同日に提出された新内閣案が国王の承認を受けた。新体制では、ペートンターン首相が文化相を兼任することが決まり、職務停止中でも内閣メンバーとして残留可能な構図となった。
この対応をめぐっては、「職務停止を見越してポジションを確保したのではないか」との批判も噴出。政権内での影響力を維持しようとする動きに対して、今後さらなる波紋が広がる可能性もありそうだ。
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