テスラのイーロン・マスクCEOが新党創設を公式化したことで、テスラ株価が約8%の急落で取引を開始した。マスクCEOの本格的な政治活動をテスラのリスクと判断した投資家たちが急いで資金を引き揚げたためだ。ウォール街でも懸念の声が相次いでいる。
7日(現地時間)、ニューヨーク市場でテスラ株は前日比7.6%安の291.21ドル(約4万2,586円)で取引を開始した。5日にマスクCEOが反トランプを掲げる新党「アメリカ党」の創設を公式発表したことが直接的な影響を与えた。
一方、マスクCEOが率いる宇宙企業「スペースX」の競合企業の一つとされる「ロケット・ラボ」の株価は、この日6%超の急騰で取引を開始し、反射的な恩恵を受けた。フィナンシャル・タイムズ(FT)は「マスクCEOは新党創設の必要性を『一党体制』への対抗として主張したが、これがかえって投資家の不安を煽る結果になった」と報じた。

市場ではテスラ株価の先行きに対する懸念が広がっている。ウォール街で知られるテスラ楽観論者、ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダン・アイブス氏は「マスクCEOが政治に深く関与し、米ワシントンの既得権勢力と対立することは、テスラの歴史において事業的に重要な時期に、テスラ投資家の期待とは正反対の方向性を示している」と分析した。
当初今週に予定されていたテスラ関連の上場投資信託(ETF)の発売も延期された。投資会社「アゾリア・パートナーズ」は5日、マスクCEOに新党創設に関する明確な説明を求め、ETFの発売スケジュールを延期した。
前回の大統領選以降、マスクCEOとドナルド・トランプ米大統領との関係はテスラ株価に継続的な影響を与えてきた。テスラ株価はトランプ大統領の当選直後の昨年12月中旬に463ドル(約6万7,709円)を突破し、過去最高値を記録した。しかし、両者が互いに罵倒し合った先月5日には287ドル(約4万1,971円)まで下落した。
マスクCEOは前回の大統領選でトランプ大統領の側近として台頭したが、5月に政府効率化省(DOGE)の長官を辞任して以降、トランプ大統領との距離が開いた。特に、トランプ大統領が推進した通称「大きくて美しい1つの法案(OBBBA)」と呼ばれる減税法案を厳しく批判し、対立が深まった。
トランプ政権はマスクCEOへの攻勢を開始した。スコット・ベッセント米財務長官は「マスクCEOの会社の取締役会は新党創設の発表を歓迎しないだろう」とし、「マスクCEOが政治活動ではなく事業活動に専念するよう促すことになるだろう」と事実上の警告メッセージを送った。
トランプ大統領は6日、報道陣に対しマスクCEOの動きについて「新党創設は馬鹿げており、混乱を招くだけだ」と強い口調で反応した。また、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」のアカウントで「彼が脱線した列車のように制御不能になっていく姿を見て悲しく思う」とし、「第三政党の得意技は混乱と無秩序を作り出すことだけだ」と主張した。
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