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【EU分断?】ポーランドやドイツの国境で検問が常態化、移民取り締まりにより”自由移動”ストップ

有馬侑之介 アクセス  

EUで広がる反移民感情

引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません

7日午前、ポーランド西部の国境都市スウビツェでは、オーデル川を挟んでドイツと行き来する車両が100メートル以上の列をなし、ポーランド国境警備隊と警察による検問が行われていた。川向こうのドイツの都市「フランクフルト・アン・デア・オーダー」でも同様の光景が見られた。ポーランド政府はこの日午前0時から「移民取り締まり」を名目に、ドイツやリトアニアとの国境52カ所に一時的な検問所を設置し、通行者の取り締まりを開始した。従来は国境の存在すら意識しないほど自由に往来できた地域だったが、今ではすべての車両や歩行者が双方の国境で列をなし、検問を受けなければならなくなっている。

欧州連合(EU)市民や一般観光客は簡単なパスポート確認のみで通過できたが、中東やアフリカ系と見られる人々には滞在資格を確認するなど、詳細な質問が続いた。橋の上で風になびくEU旗がむなしく映る状況だった。AP通信は「リトアニア・ポーランド国境では、エストニア人の案内でポーランドに入国しようとしたアフガニスタン国籍の4人が摘発された」と報じた。

最近、ヨーロッパ諸国が移民対策として国境警備を強化する中で、EU統合の象徴ともされる「シェンゲン協定」の根幹が揺らいでいるとの指摘が出ている。1995年に発効したこの協定は、域内の国境を開放し、ビザ政策を統一することで自由な移動を保障する体制だ。EUの大半の国に加え、ノルウェーやスイスなど計29カ国が加盟しており、約4億5,000万人の居住者と旅行者がその恩恵を享受してきた。

シェンゲン協定は原則として治安や公衆衛生などの例外的理由がある場合に限り、最長6カ月間の一時的な国境統制を認めている。しかし近年は、移民流入を理由にその期間を繰り返し延長し、事実上「恒常的な国境管理」を行う国が増えている。ドイツの日刊紙『ドイチェ・ヴェレ』は「シェンゲン協定の本来の趣旨は長期的な統制を容認することではなかった」とし、「このままではドミノのようにシェンゲン全体が崩壊しかねない」と警告した。一部メディアは、今回のポーランドによる国境統制を「シェンゲンの終わりの始まり(Beginning of the end of Schengen)」と表現した。

ポーランドに先立ち、ドイツは昨年9月からポーランド、チェコ、オーストリアなど9カ国との国境で独自の検問を強化してきた。これは、今年5月に発足した中道右派のフリードリヒ・メルツ政権が掲げた「不法移民の遮断」公約の一環だ。ドイツ政府は最近、適法な滞在資格を持たず難民申請のためにポーランドから越境する移民を、その場で即座に送り返す措置を実施している。ポーランドはこれに反発し、ドイツの「難民の押し付け」を非難し、報復的に国境統制に乗り出したとみられる。

ポーランドでは2021年、ベラルーシとの国境を経由して中東やアフリカからの不法移民が大量に流入し、大きな混乱を招いた。また、移民による犯罪の増加を背景に反移民感情が高まっており、先月の大統領選決選投票で極右・民族主義的傾向のカロル・ナヴロツキ氏が当選した背景にもこのような民意がある。

このような動きは他の欧州各国にも広がりを見せている。反移民感情の高まりを受けて保守・極右政党が勢力を拡大し、国境を閉鎖して移民取り締まりを強化する傾向が強まっている。先月末、ベルギー政府は不法移民の遮断を目的に、今夏から国境統制を強化すると発表した。オランダ、フランス、ルクセンブルク、ドイツと国境を接するベルギーは、西欧の主要国に向かう移民や難民の重要な経由地とされている。イギリスを目指したが足止めされた難民が、ベルギーにそのまま定住するケースも少なくない。このため、昨年2月に就任した保守民族主義政党出身のバルト・デウェーフェル首相は、移民抑制を国政の最重要課題に掲げている。当局は、移民の利用が多い高速道路のサービスエリア、国際バスや列車、さらにはギリシャ・イタリア発の航空便に対する重点的な取り締まりを行う計画だ。

オランダも4日、難民の一時滞在資格を5年から3年に短縮し、新規の亡命申請の受け付けを無期限で停止する法案を下院で可決した。すでに滞在許可を得た難民についても、配偶者や子ども、両親などの家族を呼び寄せる条件を大幅に厳格化する方針だ。1人の難民が入国した後に家族単位で3〜5人が追加流入する「連鎖移民(chain migration)」を遮断する狙いがある。

こうした措置により、不法移民の主なルートとなっている亡命申請件数も減少している。欧州委員会の報告書によると、今年上半期にEU加盟国およびノルウェー、スイスに提出された亡命申請は合計38万8,299件で、前年同期比23%減となったという。特にドイツは6万5,495件で、1年前に比べて43%も減少し、スペイン(7万6,020件)やフランス(7万5,428件)を下回った。

シェンゲン協定とは

ヨーロッパ29カ国が旅行や往来の利便性を目的とした協定だ。加盟国間では出入国時の検問や検索を撤廃し、自由に国境を越えることができる。1985年にルクセンブルク南部のシェンゲン村で、西ドイツ、フランス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの5カ国が出入国管理政策の統一を目指して合意し、実施は1995年から本格化した。アイルランドとキプロスを除くEU加盟国すべてが参加している。

有馬侑之介
arimay@kangnamtimesjp.com

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