交渉か混乱か…“寝て起きたらひっくり返る”トランプ関税発言、世界市場を翻弄

トランプ米大統領の発言が再び世界を揺らしている。現地時間8日、SNS「トゥルースソーシャル」に投稿した内容では、「関税は予定通り8月1日から発動。延長は一切ない」と明言した。だがそのわずか前日、ホワイトハウスでは「変更の余地はある」と口にしていた。発言を覆すのはこれで28回目。アナリストからは「一晩で変わる口先に市場が翻弄されている」と批判の声も上がっている。
トランプが「関税戦争」の口火を切ったのは4月。56カ国とEUを対象に、相互関税を課すと宣言。同月6日には「後退はない」と強硬姿勢を見せ、世界の市場は大きく動揺した。特にアジア株式市場では、日経平均が7.83%、コスピ指数が5.57%、香港ハンセン指数が13.22%も下落。リーマン・ショック以来の惨状となった。
しかし実際に関税が発動されると、わずか13時間後に「90日間の猶予」を発表。市場の混乱は頂点に達した。その後も、関税発動を巡るトランプの発言は毎日のように揺れ動いた。例えば7月3日には「一部の国の関税率は60~70%に達するかもしれない」と圧力をかけ、4日には「10カ国ずつ関税通知を送る」と警告したものの、実行は7日まで遅れた。
これまでの米大統領とは対照的な手法でもある。バイデン政権も中国製EVへの関税を100%まで引き上げたが、一貫性を欠く発言はなかった。オバマ政権では、中国製タイヤへの関税措置は限定的であり、交渉重視の姿勢を貫いていた。
『CNN』はこの動きを「ハッタリ」と断じ、ウォール街も冷笑していると伝えた。「発表にも関わらず市場は冷静で、投資家は関税が実際の政策というより、単なる交渉戦術と見ている」と指摘する。
注目の記事