
パレスチナの武装組織ハマスが、イスラエルと人質10人の解放で合意したと明らかにした。ただし、イスラエル側の強硬な姿勢が停戦交渉の進展を妨げていると主張している。
『ロイター通信』によれば、ハマスは9日(現地時間)に声明を発表し、カタールのドーハで続いているイスラエルとの間接協議の中で、救援物資の供給やイスラエル軍のガザ撤退、恒久的な停戦の保証方法を巡る争点が存在していると述べた。
6日からは米国、カタール、エジプトの仲介によってイスラエルとハマスの間で間接的な停戦交渉が続けられているが、いまだに明確な進展は見られていない。イスラエル側はガザ南部地域に軍を維持する方針を崩しておらず、『AP通信』はこれが交渉を頓挫させかねない要素になると指摘した。
一方で、イスラエル政府は停戦と人質解放に関する交渉について楽観的な見方を示しており、『AFP通信』によると、ドナルド・トランプ米大統領の楽観論を支持する姿勢も見せているという。ネタニヤフ首相は米『フォックス・ビジネス・ネットワーク』の番組で、「交渉は前進していると考えており、成功する可能性は高い」と語った。
また、イスラエルのギデオン・サール外相もスロバキアのブラチスラバで記者会見を開き、「イスラエルは真剣に交渉に臨んでおり、合意は十分可能だと信じている。もし一時停戦が実現すれば、恒久的停戦に向けた協議も行う準備がある」と述べた。
トランプ政権の中東特使であるスティーブ・ウィトコフ氏は前日に、「今週中にガザ地区で60日間の一時停戦合意が成立することを期待している」と述べた上で、「合意がまとまれば、生存する人質10人が解放され、遺体9体も返還される見通しだ」と明かした。
この戦争は2023年10月、ハマスがイスラエル南部を急襲し、約1,200人を殺害、さらに251人を拉致したことで始まった。ロイター通信によれば、現在もガザ地区にはおよそ50人の人質が残っており、そのうち約20人が生存していると推定されている。AFP通信は、49人が残されており、そのうち27人についてはイスラエル軍が死亡を確認したと報じている。
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