
ドナルド・トランプ米大統領が就任後初めて、自らの権限でウクライナへの武器支援を決定したと報じられた。これまでロシアに融和的な姿勢を見せていたトランプ大統領の外交スタンスに、転機が訪れた可能性がある。
『ロイター通信』は10日(現地時間)、関係者の話として、トランプ政権が「大統領武器供与権限(Presidential Drawdown Authority)」を用い、アメリカ国内の武器在庫からウクライナ向けに装備品を指定する方針を明らかにしたと伝えた。
この権限は、大統領が緊急時に同盟国を支援するため、議会承認なしで武器を供与できる制度。バイデン前政権下では繰り返し使われてきたが、トランプ政権がこれを使うのは今回が初となる。
大統領選挙中から「ウクライナ戦争を早期に終結させる」と強調していたトランプ大統領は、交渉が難航するなかで最近ではプーチン大統領への不満をあらわにし、「ウクライナに防御兵器を送っている。私が承認した」と発言していた。
プーチン氏に対しては「多くの嘘をついてきた」と厳しい言葉を投げかけ、「彼は表面的には丁寧だが、言葉に意味はない」とも語った。上院で進行中の対ロ制裁法案への賛否についても、支持を検討中としている。
報道によると、今回の武器支援パッケージにはパトリオットミサイルや中距離ロケットなどが含まれる可能性があり、総額はおよそ3億ドル(約441億円)に達する見通し。最終的な装備の種類はまだ確定していない。
米国には現在、約38億6,000万ドル(約5,676億円)の大統領武器供与枠が残っており、直近では1月9日にバイデン前大統領が5億ドル(約735億円)相当の供与を承認していた。
一方で、トランプ政権は今月に入って、バイデン政権時に承認された一部の主要装備支援を中断したが、その後一部は再開されている。
ウクライナ側がとくに必要としているのは、パトリオット迎撃システムや地対地多連装ロケット「GMLRS」とされており、今回の支援にも含まれる可能性が高いという。これらの装備はすでにヨーロッパに備蓄されており、数日以内に迅速な配備が可能とされている。
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