
テスラCEOのイーロン・マスク氏が率いるAIスタートアップ「xAI」が、企業価値を最大2,000億ドル(約29兆4,784億8,200万円)と想定し、資金調達を進めているとのこと。創業からわずか1年で企業価値が10倍に拡大したという。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)は12日(現地時間)、関係者の話として、xAIが新たな資本調達に乗り出す計画だと報じた。新たな調達は早ければ来月にも始まる見通しで、約2カ月の間に3回目となるとのこと。
xAIは今年6月、社員などが保有する非上場株式を売却する「セカンダリー・オファリング」によって3億ドル(約442億1,704万7,000円)を調達し、今月には融資と現金出資で100億ドル(約1兆4,739億160万円)を確保したという。
AI関連株が再び市場を熱くする中、xAIも資金確保を急いでいるとのこと。半導体大手エヌビディアは11日までに4日連続で最高値を更新し、時価総額が4兆ドル(約589兆7,606億9,000万円)を超えた。こうした中、xAIは昨年5月のシリーズB資金調達では企業価値が180億ドル(約2兆6,535億1,390万円)とされていたが、今回はその10倍以上に跳ね上がる見込みだという。
xAIは今年3月、マスク氏が運営するソーシャルメディア「X」を450億ドル(約6兆6,343億970万円)で買収し規模を拡大した。この合併によってxAIの企業価値は当時、1,130億ドル(約16兆6,592億8,300万円)と評価されていた。
AI開発の分野でもxAIは存在感を高めており、先週にはチャットボット「Grok」の第4世代モデルを公開した。しかし、「Grok」はその言動をめぐって度々、議論を呼んでいる。
マスク氏が極右寄りの発言で物議を醸す中、「Grok」はヒトラーを称賛したり、反ユダヤ主義的な投稿を共有したりするなどの問題行動が報告されているとのこと。
関係者によれば、こうした物議をよそに、xAIは今回の資金調達で企業価値を1,700億~2,000億ドル(約25兆607億2,500万円~約29兆4,784億8,200万円)と見込んでいるという。
資金調達にはサウジアラビアの政府系ファンド「公共投資基金(PIF)」が中心的な役割を果たすとされ、PIFはxAIに8億ドル(約1,179億3,222万円)を投資したキングダム・ホールディング・カンパニーの保有株を通じ、間接的にxAIの株式を所有している。
一方、xAI以外にもマスク氏が手がける宇宙開発企業スペースXの企業価値も上昇しているという。
FTによると、スペースXは現在、約10億ドル(約1,473億7,628万円)相当の自社株売却を進めており、企業価値は4,000億ドル(約58兆9,454億3,800万円)と評価されている。
しかし、今後の展望には不透明感もあると見られている。
トランプ大統領の再選を後押しし、第2期政権では政府効率化部門(DOGE)長官を務めるなど、かつてトランプ大統領と親密な関係にあったマスク氏だが、5月末にDOGE長官を辞任して以降、両者の関係は「犬猿の仲」に変化しているためだという。
とくに、スペースXは米政府事業への依存度が高く、トランプ大統領との関係悪化が事業展開に支障をきたす可能性もあるという。
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