
米国がウクライナへのパトリオット・ミサイル供与を含む武器支援を検討する中、戦線が膠着状態に陥った原因は「ドローン(無人機)」にあるとの分析が出た。慢性的な弾薬不足に悩むロシアとウクライナは、戦争初期と比べ数百倍のドローンを使用している。最近の戦線では塹壕戦に代わり、ドローン戦闘が主流になっている。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は13日(現地時間)、一人でも徒歩で移動すればドローンの攻撃対象になるため、塹壕での兵士交代さえ危険となり、戦線が停滞していると伝えた。
ウクライナは2022年2月、ロシアの戦車部隊攻撃に対し、結婚式撮影用の2,000ドル(約29万5,299円)の「ウェディング・ドローン」を利用して敵軍の動向を把握した。これは火力・数的劣勢だったウクライナの効率的な戦力配置に貢献した。
ウェディング・ドローンはすぐに監視ドローンへと進化した。戦争開始から1年余りで、ウクライナは一人称視点(FPV)ドローンの大量生産を開始した。「安価な自爆テロリスト」と呼ばれるFPVドローンの生産量は、2023年の20万機から今年は少なくとも450万機以上へと急増した。
戦線から数km離れた掩体でFPVドローンを操作する兵士は、ゴーグルを着用し、まるでビデオゲームのように敵を攻撃する。1機300~500ドル(約4万4,300~7万3,833円)のFPVドローンは、単独の歩兵攻撃にも低コストで運用可能だ。
手榴弾を搭載した小型高速のFPVドローンが約19km圏内のあらゆる標的を攻撃する中、「光ファイバードローン」が登場した。操縦士とドローンを10~20kmの光ファイバーケーブルで接続し、電波妨害を回避した。FPVドローンが電波妨害で無力化される一方、光ファイバードローンは漁師らが寄贈した廃網でトンネル状の物理的遮蔽を行う。
ウクライナは夜間撮影できるカメラを搭載し、夜間戦闘が可能な「バンパイア(吸血鬼)ドローン」も開発した。「ダ・ヴィンチ・ウルブズ 」の通称で知られるウクライナ第1独立強襲連隊は、地上ドローンを使用し最前線での戦死者搬送にも成功した。
最近、ロシアは一晩で500~700機のドローンを使用し、ウクライナの首都を攻撃する「ドローン飽和攻撃」を展開している。大量のドローン投入後、ミサイル攻撃を加えてウクライナの防空網を枯渇させる戦略だ。母弾から子弾を散布するクラスター弾を搭載したロシアのドローンは、弾道ミサイルに匹敵する威力を発揮している。
一方、米国のドナルド・トランプ大統領は、ウクライナ戦争の膠着状態と平和協定交渉の停滞を受け、パトリオット・ミサイルなどの防御用武器に加え、ロシア本土を攻撃可能な長距離ミサイル支援も検討していると、米ニュースサイト「アクシオス」が13日に報じた。米上院には、ロシア産原油・ウランを輸入する国に500%の関税を課す対ロシア制裁法案が提出されている。
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