長期金利の指標である10年物国債利回りが約17年ぶりの高水準に達したという。
20日の参議院選挙で与党が過半数の議席を維持できないとの見方が浮上し、野党が主張する消費税の減税に伴う財政悪化への懸念が広がっているとみられる。

15日午前、東京債券市場では10年物国債の利回りが一時1.595%を記録した。
これはリーマン・ショック直後の2008年10月以来、16年9か月ぶりの高水準となる。
報道では、自民党と連立与党の公明党が今回の参院選で過半数を確保できない可能性があると指摘されており、市場に影響を与えたとされる。
朝日新聞は13~14日に実施した世論調査などをもとに選挙情勢を分析し、自民党はおおよそ34議席(27~39議席)、公明党は9議席前後(6~12議席)を獲得する見通しだという。
自民・公明両党が過半数の125議席を維持するには、今回の選挙で少なくとも50議席を上積みする必要がある。
立憲民主党など野党は今回の選挙で、「消費税減税」を公約として掲げている。
現行8%の食料品に対する消費税を「ゼロ」に引き下げるとしており、財務省はこれにより年間約5兆円の税収減が生じると試算している。
消費税は日本の社会保障制度を支える主要な財源であり、代替財源のないまま減税が実施されれば、赤字国債の発行増につながるとの懸念があるという。
りそなアセットマネジメント債券運用部の藤原貴志氏は、日本経済新聞に対し、「野党の支持率が上昇しており、消費税減税が現実味を帯びてきている」と述べた。
これに加え、米国債利回りの上昇や、日本銀行による年内の追加利上げ観測も、日本の国債利回り上昇の要因とされている。
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