
6月の消費者物価が市場予想とかけ離れた結果とはならず、対中輸出を再開したエヌビディアが主導するハイテク株の上昇により、15日(現地時間)のニューヨーク市場ではS&P 500種株価指数とナスダック総合指数が上昇した。ただし、米国債利回りの上昇が株価の上値を抑える要因となった。
この日、東部時間午前10時20分時点でS&P500は0.14%高の6,277ポイント、ナスダック総合指数は0.8%高となった。一方、ダウ工業株30種平均は0.2%下落した。S&P500は寄り付き直後に一時6,300ポイントを超えた。
金融政策に敏感な2年物国債利回りは、6月の消費者物価指数(CPI)に関税の影響が表れ始めたとの見方から5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)急騰し、3.95%、10年物国債利回りは3.8bp上昇し4.465%となった。ベッセント財務長官がこの日、「パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は来年、議長任期と同時に理事職からも退くべきだ」と発言したことも債券売りを加速させた。債券価格と利回りは反対方向に動く。
CMEグループのフェドウォッチによると、金利先物市場は7月の利上げ据え置き確率を97.4%、9月の利下げ確率を58.2%と見込んでいる。
労働省が発表した6月のCPIは、エコノミストの予想通り関税の影響が表れ始め、総合CPIは前月比0.3%上昇した。ただし、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは予想を下回る0.2%上昇にとどまった。住居費の上昇鈍化や中古車価格や航空運賃の下落が他の品目の上昇を相殺した。
エヌビディアは同日、トランプ政権が4月から対中輸出を制限していたAIチップ「H20」の対中輸出を再開すると発表した。AMDも中国向け「MI308」チップの輸出再開を発表した。これを受け、エヌビディア株は4%、AMD株は7.9%急騰した。
米国市場に上場する中国ハイテク企業の米国預託証券(ADR)も上昇し、アリババが5%、バイドゥが7%、京東集団(JD.com)が2%以上高となった。
一方、前日に12万3,000ドル(約1,831万1,679円)を突破したビットコインは、高値更新後の利益確定売りで、東部時間午前9時40分時点で2%安の11万7,764.17ドル(約1,753万2,193円)で取引されている。イーサリアムは0.8%高の3,028.15ドル(約45万817円)となった。
決算発表シーズンが本格化する中、この日米最大手銀行のJPモルガン・チェースとシティグループは、堅調な取引と投資銀行業務の収益に支えられ、予想を上回る第2四半期決算を発表した。それにもかかわらず、JPモルガン株は0.3%安、シティグループ株はわずかに上昇した。
CNBCによると、S&P 500構成企業の今四半期の増益率は前年同期比4.3%と予想されている。これは2023年第4四半期以来の低水準になるという。
スコット・ベッセント財務長官はこの日、ブルームバーグのインタビューで「パウエル議長は2026年5月の任期満了時に、議長職とともに理事会からも退くべきだ」と述べたという。トランプ大統領から直接FRB議長就任を要請されたかとの質問に対し、「意思決定プロセスに関与している」とし、「それはトランプ大統領の決定であり、彼のペースで進められる」と付け加えた。
注目の記事