
ロシアがウクライナとの終戦・合意に応じなければ、100%の第2次関税を課す可能性があるというドナルド・トランプ米大統領の圧力に対し、クレムリンは「極めて深刻だ」と評価した。
タス通信によると、ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は同日の記者会見で「米大統領の発言は極めて深刻であり、その一部は(ウラジーミル)プーチン露大統領と直接関係がある」と指摘した。さらに「明らかに米国の発言内容を分析する時間が必要だ」と付け加えた。また、プーチン大統領が必要と判断すれば、トランプ大統領の発言について直接コメントするだろうと述べた。
トランプ大統領は前日、NATO(北大西洋条約機構)のマルク・ルッテ事務総長との会談で、50日以内にウクライナとの終戦・合意が実現しなければ、ロシアと取引する国に100%の第2次関税を課すと警告した。また、ウクライナにパトリオット防空システムを含む武器を提供し、その費用は欧州諸国が負担すると明言した。
ペスコフ報道官は「現時点で明確に言えるのは、ウクライナが米国とNATO諸国、そして欧州連合(EU)のこうした決定を平和の兆しではなく戦争継続の信号として認識しているということだ」と主張した。さらにロシアはウクライナとの3回目の交渉を行う準備が整っており、交渉時期についてウクライナ側の提案を待っていると述べた。
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は中国で開催された上海協力機構(SCO)外相会議の記者会見で、トランプ大統領の関税警告について「『50日』発言の意図を理解したい」と述べ、「以前には『24時間』や『100日』という期限もあった」と語った。これはトランプ大統領が終戦達成の目標期限を頻繁に変更していることを指摘したものだ。
ラブロフ外相は、トランプ大統領がウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を無謀に支持し、武器供給を続けるEUおよびNATOの指導者たちから強い圧力を受けていることは明白だと主張した。さらに「我々を狙った制裁の数はすでに前例のないレベルに達している」と述べ、「我々はこれらの制裁に対処しており、必ず克服できると確信している」と強調した。
ロシア国内では、トランプ大統領の関税警告を「最後通牒」とみなし不快感を示しつつも、極めて厳しいレベルではないとの見方も出ている。ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官はタス通信に対し、「もちろん我々への要求、特に最後通牒は受け入れられない」と述べ、「政治的・外交的努力に集中すべきだ」と強調した。
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