
欧州連合(EU)が米国との自動車関税引き下げを軸に貿易交渉を進める兆しが見える。欧州の自動車業界は米国車との競争に自信を示し、EUに対し米国産自動車への関税引き下げを要求している。
17日(現地時間)にフィナンシャル・タイムズ(FT)は、米国が欧州産自動車への関税を20%以下に引き下げる場合、EUは米国産自動車への関税を完全撤廃する提案を準備していると報じた。自動車は米国とEU間の貿易交渉における最大の障壁となっている。米トランプ政権はEU産自動車に30%の関税を課す方針を示していた。FTによると、米国もEU産自動車への関税を17.5%に引き下げることを積極的に検討しているという。
EUのマロシュ・シェフチョビッチ委員(貿易・経済安全保障担当)は米国を訪問し交渉を進めており、決裂した場合、EUは米企業にデジタル税を課す対抗措置を取る可能性があるとされる。米国はEUとの貿易で赤字を抱える一方、デジタル税では年間約1,000億ドル(約14兆8,295億円)の黒字を計上している。
さらに、EUは交渉決裂時に関税を課す可能性のある720億ユーロ(約12兆4,219億円)相当の米国産輸入品(ボーイング機やウイスキーなど)のリストを検討中だ。スウェーデン「ボルボ・カー」のホーカン・サミュエルソンCEOは、EUに対し米国産自動車への関税をさらに引き下げるよう促し、注目を集めている。サミュエルソンCEOは、欧州の自動車メーカーが欧州市場で米国車と競争する際に保護を必要としないと述べた。
ボルボは米国の関税を回避するため、来年末から人気ハイブリッド車モデルの「XC60」を米国で生産する計画だ。同社は現在、米サウスカロライナ州の工場で「ポールスター3」と電気自動車「EX90」を生産しているが、米国の消費者からの反応が芳しくなく、減産に踏み切っている。
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