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【エクアドルが震えた60日】国家非常事態のギャング王がついにアメリカへ強制追放された理由

望月博樹 アクセス  

引用:bosnainfo
引用:bosnainfo

エクアドル政府は20日(現地時間)、暴行や賄賂、軍用武器の密売に関与していたギャング組織の指導者1人を米国に追放したと発表した。

エクアドルのギャング組織首領アドルフォ・マシアス・ビジャマル(45歳)は「フィト(Fito)」の異名で知られる。2024年1月、脱獄により政府が60日間の国家非常事態を宣言した。

当時、フィトの脱獄を受け、エクアドル国内少なくとも6カ所の刑務所で暴動が発生し、多数の刑務官が人質となった。政府は軍を投入して鎮圧し、ダニエル・ノボア大統領は22の犯罪組織をテロ組織に指定した。武装ギャングはこれに対抗し、放送局襲撃などの報復行為を行った。2023年に就任したノボア大統領は治安対策を最優先課題とし、組織犯罪への強硬姿勢を維持している。

米大統領選後、トランプ政権は不法移民収容のための新設刑務所の建設や、米国人犯罪者の収容でエクアドル政府と連携してきた。今回のフィトの送致もその延長線上にあるとみられている。

ビジャマルは2023年6月に再逮捕された。2024年4月、数千ポンドのコカイン密輸容疑で米ニューヨーク検察に再起訴された。エクアドル政府の刑務所監督機関SNAIは声明で、「ラ・ロカ刑務所に収監されていたビジャマルは、国家警察特殊部隊の監視下で拘束され、適法な手続きを経て米国への追放手続きが実施された」とした。

引き渡しの詳細は公表されていないが、メディアに配布された写真には、防弾ベストとヘルメットを着用し、警察に護衛されて場所不明の道路を歩く姿が確認された。弁護士はAP通信に対し、ビジャマルが21日(ニューヨーク時間)にブルックリンの連邦裁判所に出廷し、「無罪を主張する」と述べたと明らかにした。今後は米国内の刑務所に収監されるが、収容先は未定とされた。

追放は、米政府がエクアドル側に公文書を送り、基本的人権の保障を約束した後に実施された。ビジャマルは1990年代に台頭した犯罪組織「ロス・チョネロス」の幹部で、2020年から首領を務めた。「ロス・チョネロス」は米国から銃器や弾薬を密輸し、資金源とした。メキシコの麻薬カルテルと連携し、コカインを米国に密輸していた。

「ロス・チョネロス」はエクアドル全土のコカイン密輸ルートを掌握し、司法警察、政治家、一般市民を問わず妨害者や摘発者を排除してきた。ビジャマルは麻薬密売や殺人で34年の刑を宣告され、グアヤキル刑務所に収監された後に脱獄。エクアドル中部で再逮捕され、収監されたが、同国では事実上の支配者とされた。

2023年には獄中で武装した部下を従え、「エクアドル国民へ」と題した演説動画を撮影し配布した。刑務所内では闘鶏用の鶏から酒類に至るまで持ち込まれ、盛大なパーティーが何度も開かれていたという。エクアドル矯正当局によれば、ビジャマルはエクアドルから米国へ追放された初の犯罪者となった。過去に米国へ引き渡された犯罪者2人は、いずれもコロンビアで逮捕され、同国から移送された。

望月博樹
editor@kangnamtimes.com

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