
2016年の米大統領選を揺るがした「ロシアゲート」をめぐる論争が再燃している。
新たに複数の元米情報機関幹部が「この疑惑はオバマ政権によって意図的に作られたものだ」と爆弾証言を行い、SNS上では「オバマ」「反逆罪(treason)」といった検索ワードが急上昇している。
論争に火をつけたのは、保守系メディア『フォックスニュース』の報道だった。報道によれば、オバマ政権時代にホワイトハウスが情報機関に対し「ロシアはトランプを支援している」と結論づけるよう圧力をかけていたという。
元幹部らは、「ロシアの選挙介入は選挙システムへの不信感を広めるのが目的であり、特定候補の支援ではなかった」と主張。証拠として挙げられたのは、長らく非公開だった2017年1月のNSA内部報告書だ。
この報告書には「ロシアのサイバー攻撃に、特定候補を有利にする意図は確認されなかった」と記載されていたにもかかわらず、CIAやFBIなどが共同で作成した最終評価(ICA)からは除外され、その後の機密解除でも公開が見送られていた。
当時の会議には、CIAのジョン・ブレナン長官、スーザン・ライス補佐官、ジョン・ケリー国務長官らが参加。クラッパー国家情報長官(DNI)は「大統領の指示で新しい報告書を作成せよ」というメールを送ったとされている。
そもそもロシアゲートは、ドナルド・トランプ大統領が2016年の選挙でヒラリー・クリントン候補に勝利する過程で、プーチン政権から秘密裏に支援を受けたという疑惑だった。民主党全国委員会(DNC)やクリントン陣営幹部のメールがロシアにハッキングされたとされ、政権の正統性にまで波及した。
しかし、2019年にロバート・モラー特別検察官が2年にわたる捜査の末、「トランプ陣営とロシア政府の共謀は証明できなかった」と結論を下している。
今回の新証言により、「ロシアゲートは政治的魔女狩りだった」とするトランプ陣営の主張に新たな追い風が吹く一方で、民主党側は「ロシアの選挙介入は議会報告書で明確に示された事実」として反発。アメリカ政界は再び深刻な分断の渦中にある。
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