
ロシアとウクライナは23日、トルコ・イスタンブールで第3回高官級協議を開催し、約40分間の交渉を経て終了した。両国は軍人だけでなく民間人を含む捕虜交換に合意したが、和平に向けた大きな進展は見られなかった。
ロシアの『タス通信』は情報筋の話としてこの協議の終了を報じた。会談は現地時間の午後8時37分ごろ開始され、同日中に終了したという。両国は新たな合意事項の履行後に第4回協議を行う方針を示している。
同日、ロシア大統領府のペスコフ報道官も協議開催を事前に認め、「今回の議題は第2回協議で提示された覚書案に基づくものだ」としながらも、「文書には正反対の主張が含まれており、交渉は非常に困難なものになる」と見通しを語っていた。
ロシアは前回6月2日の協議でウクライナに対し「和平覚書案」を提示。ロシア側が提示した和平覚書案には、ウクライナ軍の完全撤退とそれに伴う30日間の停戦開始を含め、第三国による軍事活動および軍事インフラの配備禁止、対ロシアへの破壊工作や政権転覆行為の放棄、ウクライナに対する軍事支援の停止といった内容が盛り込まれていた。さらに、北大西洋条約機構(NATO)への加盟断念、クリミア半島およびロシアが実効支配する4地域を国際法上承認するよう求めるなど、ウクライナにとって受け入れがたい厳しい条件が並んでいる。
両国はロシアによるウクライナ侵攻から1か月後の2022年3月に一度高官級会談を行ったが、その後約3年間にわたり対話が中断されていた。今年5月16日にイスタンブールで再会談が行われ、6月2日に第2回協議、今回が第3回目となる。
今後、捕虜交換の合意が円滑に実施されるか、そして停戦合意へ向けた前進があるのか、国際社会の注視が続いている。
注目の記事