米国のドナルド・トランプ大統領と対立してきた名門大学であるハーバード大学が、5億ドル(約741億1,473万円)規模の罰金支払いに向けた協議に入った。反ユダヤ主義への対応を巡りトランプ政権と対立してきたハーバード大学は、助成金の支給停止などの強硬措置を示すトランプ側の圧力に屈する形になった。

28日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、この件に詳しい4人の関係者の証言をもとに「ハーバード大学がホワイトハウスとの対立を終結させるため、トランプ政権による最大5億ドルの支出要求に応じる意向を示した」と報じた。また、「ハーバード大学は米連邦政府に直接資金を支払う方式には難色を示しているが、具体的な財政支出条件について協議中だ」と伝えた。
これまでトランプ政権は、ハーバード大学がユダヤ人学生への対応に消極的であり、公民権法第6条に違反したとして、全ての財政支援を中止するよう圧力をかけていた。1964年に制定された公民権法は、人種、民族、出身国、宗教、性別などを理由にする差別を違法と定め、第6条では米連邦政府の支援を受ける団体に対し、人種、肌の色、出身国などを理由とした差別行為を禁じている。
コロンビア大学も公民権法の違反容疑で米連邦政府の調査を受けており、23日にはトランプ政権との交渉を通じ、罰金2億ドル(約296億3,894万円)を支払う代わりに、毎年12億ドル(約1,778億3,365万円)以上の連邦助成金を再び受け取ることで合意した。また、双方が共同で指名した外部監視人が、入学や教授採用など合意の履行状況をチェックすることになった。なお、ハーバード大学が検討中の罰金規模は、コロンビア大学の2倍に達する。
トランプ政権はコロンビア大学との合意以降、同様の方法で他の名門大学との交渉も進めている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は25日、関係者の証言を伝え「トランプ政権はコロンビア大学をモデルとして、ハーバード大学、コーネル大学、デューク大学、ノースウェスタン大学、ブラウン大学など他の名門大学との交渉を進めている」と報じた。
両者は合意のための協議に着手したが、ハーバード大学はコロンビア大学が受け入れた外部監視人の指定に反対していると伝えられている。ハーバード大学は、外部監視人の要件を合意内容に含めることが大学の学問の自由を侵害し、「レッドライン(越えてはならない一線)」を超えるものと考えている。
現在進行中の協議の具体的な条件と正確な日程については、双方とも即座に立場を明らかにしていない。NYTは「政府とハーバード大学がいつ頃合意に達するかは依然として不透明だ」としつつ、「ハーバード大学は4月に政府を相手に提起した訴訟と今回の合意とを関連付けようとするだろう」と伝えた。当時、ハーバード大学はトランプ政権が大学内政策の変更を要求し助成金支給を中止したことに対して、これを撤回するよう訴訟を起こしていた。
ホワイトハウス首席副報道官のハリソン·フィールズ氏は「行政の提案はシンプルで常識的なものだ」と述べ、「ホワイトハウスは、ハーバード大学が最終的に大統領のビジョンを支持することになると確信しており、誠実な対話と交渉を通じて十分に良い合意に達することができると信じている」と語った。
ハーバード大学との合意が完了すれば、トランプ大統領は財政支援を武器に名門大学との戦いで勝利を収めることになる。トランプ政権は当初、各大学のイデオロギー的傾向の是正に注力していたが、最近では連邦助成金を梃子にして財政的利益を追求する方針を強めている。
ビル・クリントン前政権時に保健福祉長官を務め、マイアミ大学を含む4つの大学を率いたドナ・シャララ元下院議員は「トランプ大統領にとって、合意の詳細はそれほど重要ではない」とし、「彼にとって重要なのは取引を成立させ、『勝利』を収めることだ」と述べた。
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