
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が28日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話会談を行い、中東地域の緊張情勢について幅広く協議した。クレムリンによれば、両首脳は緊急性の高い国際問題や二国間の懸案について、引き続き対話を続けることで一致したという。
ロシア側は、同地域で発生する対立や問題を平和的手段のみで解決すべきという一貫した立場を改めて強調。クレムリンが公開した声明によると、プーチン大統領はシリア・アラブ共和国の統一、主権、領土の保全を支持し、すべての民族および宗教コミュニティの正当な権利と利益を尊重することで、国内の政治的安定が重要であると述べた。
最近、イランとイスラエルの対立が激化するなか、ロシアはイラン核問題に関する協議を通じた解決を後押しする意志も明らかにした。25日にはイランが米国に続き、英国・フランス・ドイツとも核交渉を実施したことから、ロシアがどのような外交的役割を担うのか注目が集まっている。
一方で、ロシアは過去、イランがイスラエルや米国の空爆により核施設を攻撃された際、国際法違反を非難する「言葉だけの支援」にとどまり、実質的な援助ができなかったとの指摘もある。
今回のプーチン・ネタニヤフ電話会談を受け、対イラン軍事行動の波紋はいったん沈静化し、外交交渉フェーズへと局面が移行したという見方も浮上している。
ロシアは現在、ウクライナ侵攻で国際的な孤立を深める一方で、シリアの親露政権であるアサド政権が弱体化し、イランも軍事的圧力に晒される中で、中東での影響力が後退しているとの分析もある。今後ロシアが外交を通じてこの地域で再び影響力を取り戻せるかどうかが問われている。
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