
国際原油価格が29日、3%を超える大幅な上昇を見せた。トランプ米大統領がロシアに対する圧力を一段と強めたことに加え、米国と主要貿易国との摩擦が緩和するとの期待感が、原油価格を押し上げた。
『ロイター通信』によると、同日のブレント原油9月物は前日比2.47ドル(3.53%)上昇し、1バレルあたり72.51ドル(約1万740円)で取引を終えた。米国産WTI原油も2.50ドル(3.75%)上昇の69.21ドル(約1万251円)で引け、いずれも6月20日以来の高値となった。
トランプ大統領は記者会見で「ロシアが今後10日以内にウクライナ戦争終結に向けた具体的な進展を示さなければ、追加の関税と制裁を発動する」と明言。今回は断固たる対応を取る姿勢を強調し、他国にも同調を求める構えを見せた。
同日、スコット・ベセント米財務長官は米中貿易協議直後の会見で、中国が制裁対象であるロシア産原油の輸入を続けた場合、米議会で可決された「二次制裁関税法」に基づき最大500%の関税が科される可能性があると警告した。
この日はストックホルムで開かれた米中高官級協議の2日目でも、両国が関税猶予措置を90日延長することで合意。貿易摩擦の激化が一時的に緩和される見通しが示された。
加えて、米国と欧州連合(EU)も一部で合意に至ったとされ、特に今後3年間でEUが米国産エネルギーを総額7,500億ドル(約111兆円)で輸入することが含まれている。ただし、専門家はこの目標の達成は現実的ではないとの見方を示している。
みずほ証券エネルギー部門の責任者であるボブ・イェーガー氏は「この合意は欧州にとって完璧なものとは言えないが、全面的な貿易戦争に突入するよりは明らかに好ましい結果だ」と分析した。
一方、米国石油協会(API)の報告によれば、先週の米国内原油在庫は154万バレル増加したという。米エネルギー情報局(EIA)は30日に正式な統計を発表する予定だ。
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