
米商務省が30日に発表した第2四半期の国内総生産(GDP)は年率換算で3%の成長を記録した。しかし、この数字の裏にはアメリカ経済の不安定さが潜んでいる。『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』はこの結果を「史上最も奇妙なGDP報告書」と表現した。
WSJ社説はまず、表面的な数字に惑わされるなと警告する。確かに1〜3月期のマイナス0.5%からの回復は目を引く。だが成長を牽引したのは、消費や投資ではなく「輸入の急減」だった。
第2四半期、アメリカの輸入は30.3%も落ち込み、それによって純輸出がGDPを4.99%も押し上げた。だがこれは景気回復というより、輸入減による「見かけ上の成長」にすぎない。しかもこの輸入減少は、トランプ米大統領による不安定な関税政策が企業活動に与えた影響と見られている。
企業は設備投資を大幅に減らした。第2四半期の国内投資は15.6%減少し、特に非住宅設備投資のGDP寄与度はわずか0.27%にとどまった。在庫を一気に圧縮した動きも見られた。企業が将来を見通せなくなっている証左だ。
一方で、個人消費は0.98%の成長寄与と比較的堅調だったが、国内需要の核心指標である民間最終需要の伸びはわずか1.2%。これは2022年末以降で最低の水準だ。
後半期には、いわゆる「大きくて美しい法案」――大型税制改革・予算法の成立が経済の下支えになるとの期待もある。企業投資が持ち直す可能性はあるが、それも政策の安定性次第だ。
WSJはこのGDPデータがトランプ大統領に対する警告でもあると指摘する。「通商交渉を早く終わらせろ」というメッセージだ。企業がサプライチェーンの再構築やコスト管理を進めるには、まず前提条件の明確化が必要だ。
だが問題はそこにある。トランプ大統領は関税を「外交カード」として活用してきた。ブラジルが友人を起訴したという理由で、突如として50%の関税を課した一件も記憶に新しい。そんな彼が素直に交渉を終える保証は、どこにもない。
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