
米国の雇用市場が今年5月から大幅に悪化していることが判明し、関税政策の影響がすでに顕在化しているとの分析が出ている。一方、米国のドナルド・トランプ大統領は統計操作を主張し、米労働省の労働統計局長を解任した。これに対し共和党内からも批判の声が上がり、論争が巻き起こっている。
トランプ大統領は1日(現地時間)、SNSの「トゥルース・ソーシャル」で「ジョー・バイデン前大統領が任命したエリカ・マクエンタファー労働統計局長が『雇用統計』を操作したとの情報を得た。即刻解任するよう指示した。このような重要な数値は公正かつ正確でなければならず、政治目的で操作されてはならない」と述べた。
トランプ大統領の激しい反応は、米国の最近の雇用増加ペースが大幅に鈍化したとする労働省の発表を受けてのものだ。この日公表された雇用統計によると、先月の米国非農業部門の雇用増加は7万3,000人にとどまり、市場予想(11万人)を大きく下回ったという。
労働省はさらに、既に発表済みの5月の雇用増加数を14万4,000人から1万9,000人に、6月を14万7,000人から1万4,000人に大幅下方修正した。これにより5~6月の雇用数は合計25万8,000人減少した。米国ではこれまで、トランプ大統領の関税政策にもかかわらず雇用指標が好調で影響は見られないとされてきたが、実際には市場が既に大きく縮小していたことが明らかになった。
ワシントン・ポスト(WP)などは専門家の見解を引用し、初期の雇用統計は回答の早い大企業中心に作成されるため、小規模企業の回答が遅れて追加されると全体の数値が下方修正される傾向があると分析した。実際に米国の雇用悪化を示す兆候が多いと指摘した。コンサルティング会社「EYパルテノン」ののチーフエコノミスト、グレゴリー・ダコ氏はCNNに対し「関税と不確実性が雇用主を萎縮させている」と語った。
政界では民主党はもちろん、共和党内からもトランプ大統領による労働統計局長の解任は行き過ぎだとの批判が出ている。共和党のシンシア・ルミス上院議員(ワイオミング州)は「数値が不正確なら国民に説明すべきで、性急な解雇は望ましくない」と述べた。共和党のランド・ポール上院議員(ケンタッキー州)もNBCニュースのインタビューで「このような措置は、むしろデータの政治化を助長するだけだ」と指摘した。
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