
アップルが投資家に対して「関税コストで1,600億円超の損失が発生する」と警告を発した。製造拠点のインド・ベトナム移転でもコスト高を避けられず、株価も急落した。
現地時間1日、アップルのティム・クックCEOは第3四半期の決算説明会で「6月期の関税コストは10億ドル(約1,480億円)を超える」と明かし、第4四半期には11億ドル(約1,630億円)を超える可能性があると投資家に警告した。
クックCEOは「出荷量の増加が関税負担を押し上げている」と説明し、前四半期には供給網の混乱と関税リスクを見越して生産を前倒ししたとも語った。
さらにアップルの製造体制について、「米国で販売されるiPhoneの大半はインドで生産されている」と述べ、「MacBook、iPad、Apple Watchなど他の主力製品群は現在、ベトナムで製造されている」と生産拠点の再編状況も共有した。
アップルは今年初め、データセンターやAIインフラ、Apple TV+の制作などに向けて5,000億ドル(約74兆円)を投資する計画を発表している。しかし、クックCEOは「今後4年間で米国への投資も強化する」と語り、この5,000億ドルには米国内プロジェクトも含まれていると明らかにした。
CFOのルカ・マエストリ氏も「関税コストは出荷量にほぼ比例する」と述べたが、今後の関税率や米中貿易摩擦の行方については「依然として不透明」との見解を示した。
一方で、トランプ大統領は今週、インドに対して米国への輸出品に25%の報復関税と、ロシアとの軍事取引への制裁強化を表明。iPhoneを大量生産するインドにも新たな地政学的リスクが迫っている。
アップル関連の著名アナリストであるミンチー・クオ氏は、「アップルは製造ラインを米国に戻すよりも、25%の関税をそのまま受け入れる可能性が高い」と予想しており、事業コストはさらに圧迫される恐れがある。
この発表を受け、アップル株は2.50%下落し、終値は202.38ドル(約2万9,913円)を記録した。
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