アメリカのドナルド・トランプ政権は今月20日(現地時間)から、一部のビザ申請者に対し最大1万5,000ドルの保証金を課す方針を打ち出した。外国人訪問者がビザの有効期限を超えて米国に滞在することを防ぐのが目的とされている。

4日の連邦官報によると、ビザ超過滞在率が高い国の国民が観光またはビジネスビザで米国を訪れる場合、5,000ドルから1万5,000ドルの保証金を支払う必要があるという。また、審査や身元確認の情報が不十分と判断された場合も、保証金の対象となる可能性がある。
保証金の額は、ビザを発給する米国の領事館が5,000ドル、1万ドル(約147万2,324円)、1万5,000ドルの三段階から決定される。ビザの有効期限内に出国すれば保証金は返金されるが、超過滞在した場合は返還されないという。この制度は12か月間の試験プログラムとして導入される予定だ。
フィナンシャル・タイムズ(FT)は、「この制度はトランプ政権の反移民政策が一層強化されていることを示すものだ」と評価している。トランプ大統領は不法移民の取り締まりを最重要課題と位置付け、就任後は国境警備を強化し、不法滞在者の摘発にも力を入れてきた。今年6月には国家安全保障を理由に12か国の国民に対する米国への入国を禁止する「渡航禁止令」を発表している。
なお、官報には保証金制度の対象となる国名は記載されていない。保証金の有無や金額は、米国土安全保障省が収集・公表するビザ超過滞在に関するデータを基に決定されるという。
米国務省は本制度について、「ビザの超過滞在および不十分な審査・確認に起因する明確な国家安全保障上の脅威から米国を守るための、トランプ政権の外交政策である」と説明している。
この保証金制度は、今月20日から1年間の試験的な運用となる。トランプ大統領は政権1期目の2020年11月にも類似のビザ制度を試験導入したが、新型コロナウイルスのパンデミックにより海外渡航がほぼ停止したため、実施には至らなかった。
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