
オーストラリア海軍が導入を検討していた次期フリゲート艦(護衛艦)事業で、日本政府の提案が事実上最終採択された。日本軍艦の海外輸出は初めてで、今後の防衛産業輸出拡大の先駆けとなる見込みだ。
日本経済新聞によると、オーストラリア政府は4日、首相と一部閣僚で構成される国家安全保障会議(NSC)において、日本側が提案した艦船モデルの導入を決定したという。具体的な価格や調達条件は、今後建造主体の三菱重工業と協議し、年内の契約締結を目指す。オーストラリアは2029年に最初の艦船引き渡しを希望している。
この事業は計11隻のフリゲート艦導入を目指す大型プロジェクトだ。日本は海上自衛隊の「もがみ型護衛艦」を改良したモデルを提案した。日本には軍艦輸出の実績がなく、価格面でもドイツ製品より20%以上高いとされていた。しかし、高度なステルス性能や乗員数約90名という効率性を強調し、オーストラリア側を説得した。特に、運用期間全体で人件費を約30%削減できると主張したという。
オーストラリアが最も重視したのは引き渡し時期であった。日本は年間2隻以上の建造能力を有し、1月には当時の統合幕僚長が、オーストラリアのメディアとのインタビューで、選定された場合はオーストラリアへの引き渡しを最優先する意向を表明していた。
中国がインド太平洋地域での海洋進出を強める中、日豪間の安全保障協力は一層強化されつつある。両国が同型艦を運用すれば、整備拠点や部品の共有などにより相互運用性が高まる。日本にとっても、単なる武器輸出を超え、インド太平洋戦略の観点から協力関係を深化させる機会となるだろう。
オーストラリアは最初の3隻を海外で建造し、残りは南西部パース近郊のヘンダーソン造船所で建造する計画だ。これに伴い、現地企業との協力など、国内製造体制の構築に向けた協議も本格化する見通しだ。
注目の記事