
米下院は、富豪ジェフリー・エプスタイン事件に有力者が関与していたとされる「エプスタインファイル」の調査の一環として、ビル・クリントン元大統領夫妻に召喚状を発行した。
5日(現地時間)付AP通信とザ・ヒルによると、米下院監視・説明責任委員会はエプスタインファイルに関連する調査のため、米司法省と複数の元高官に出頭を要求した。
出頭要求には、過去にエプスタインとの関係が取り沙汰されたクリントン元大統領と、妻のヒラリー・クリントン元国務長官が含まれた。このほか、メリック・ガーランド元司法長官、ウィリアム・バー元司法長官など、法執行機関の元高官8人も対象となった。
元大統領夫妻が議会調査の対象となるのは異例で、クリントン元大統領には10月14日、ヒラリー元長官には10月9日の出頭が求められた。
もっとも、今回の調査がクリントン夫妻に限定されたものとは断定できない。エプスタイン問題で最も疑惑が集中しているのはドナルド・トランプ米大統領である。
これに先立ち、パム・ボンディ司法長官はエプスタイン関連ファイルを公開しない方針を示し、トランプ大統領もこれを擁護して事態の沈静化を図った。
民主党は、エプスタインと親密な関係にあったトランプ大統領の関与の可能性を追及し、共和党やトランプ支持層の間でも不透明な判断への不満が続いた。
こうした中、共和党が主導する米下院監視・説明責任委員会は7月23日の法執行関連小委員会で関連召喚状の発行を承認した。共和党議員も賛成し、議案は8対2で可決された。
続いて、ジェームズ・コーマー下院議員(共和党、ケンタッキー州)は司法省に対し、19日までにエプスタイン関連資料を提出するよう求める召喚状を送付した。
下院調査でトランプ大統領の関与を裏付ける証拠が浮上すれば、政界全体を揺るがす事態となる可能性もある。
下院は、未成年者の勧誘・紹介などを通じてエプスタインの小児性愛犯罪を幇助したとして有罪判決を受けたギレーン・マクスウェル受刑者についても調査を進める方針だったが、裁判の最終判決が確定するまで延期することを決定した。
エプスタインはニューヨークのヘッジファンドマネジャー出身の富豪で、2000年代初頭に少なくとも20人以上の未成年少女を売春させ、著名人への斡旋を通じて人脈を築いていた疑いがある。
ただし、2019年8月に裁判中の身でマンハッタンの刑務所内で死亡し、事件の全貌は今なお不透明なままである。著名人への売春斡旋疑惑も浮上しており、過去に親交のあったトランプ氏やクリントン氏ら有力者も疑惑の渦中にある。
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