
ドナルド・トランプ米大統領が6日、米国に輸入される全ての半導体製品に対して100%の関税を課す意向を明らかにした。発言は記者との質疑応答の中で飛び出したもので、正式決定ではないものの、実現すればサムスン電子やSKハイニックスなど韓国半導体メーカーの対米輸出に深刻な打撃が及ぶとみられる。
トランプ大統領はホワイトハウスで行われたアップルの1,000億ドル(約14兆7,520億円)規模の米国投資イベントに出席し、「すべてのチップと半導体に100%の関税を課す」と発言。同時に「米国内に工場を建設した、もしくは建設を約束した企業は対象外」と述べた。
具体的な適用時期については言及を避けたが、前日『CNBC』とのインタビューでは「来週中に発表する」と述べており、現実味が増している。
トランプ大統領はまた、「我々はかつて100%自国内でチップを生産していたが、いまや失われた」と述べ、「ゼロから再構築し、近いうちにシェアを50%まで引き上げる」と語った。
韓国経済にとって半導体は最大の輸出品目であり、全体輸出の約20%を占める。米国向け輸出でも完成車、一般機械に次ぐ第3位だ。韓国・産業通商資源部によると、昨年の半導体輸出額は1,419億ドル(約20兆9,240億円)に上り、うち103億ドル(約1兆5,190億円)が米国向けだった。
実際に100%関税が発動されれば、サムスン電子やSKハイニックスをはじめとする半導体大手だけでなく、部材・装置などのサプライチェーン全体が影響を受ける見通しだ。
トランプ大統領は今年2月にも「半導体や医薬品に25%から関税を始め、1年かけて引き上げることもできる」と言及しており、4月にはTSMCの米工場建設に絡め「建てなければ25%、50%、あるいは100%の税金を払うことになる」と警告していた。
この日の発言を受け、米インテル株は時間外取引で3%超上昇。輸入企業の負担が増す一方で、国内生産企業の優位性が高まるとの見方が市場に広がった。
さらに、トランプ政権は前政権が導入した「CHIPS法」やインフレ抑制法(IRA)に基づく補助金・融資支援の見直しにも着手しており、政府支援の方向性にも変化が見られる。
一方、韓国は先月末に米国との貿易協議で合意に達し、半導体と医薬品に関しては最恵国待遇を受けることで一致。EUとは15%の品目関税で合意済みで、今後の正式発表が注目される。
アップルのティム・クックCEOも同イベントに出席しており、アップルは今後4年間で米国に6,000億ドル(約88兆4,760億円)を投資すると発表した。
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