
米国が韓国産農畜産食品に一律15%の相互関税を課す措置を発動した。韓国の対米輸出は採算悪化が避けられず、サプライチェーン再編や原産地証明強化など輸出全体の戦略見直しが急務となっている。
韓国農林畜産食品部と韓国農水産食品流通公社(aT)が8日に公表した報告書によれば、7日(現地時間)から米国に輸出される全ての韓国産農畜産食品に15%の税率が一律適用された。米国の輸入・流通業者を対象に行われた調査では、全ての回答企業が「消費者向け販売価格の上昇は避けられない」と回答している。
さらに9社が「利益率の低下による収益悪化」を懸念し、6社は「発注量削減」または「代替国・代替商品の探索」を検討中と答えた。報告書は関税引き上げに伴い、米国内での消費冷え込みリスクを指摘。6月時点で米国の物価上昇率は2.7%、食品分野は3.0%に達しており、価格転嫁が難しい農畜産食品では短期的に需要減少が不可避と見込まれている。
農林畜産食品部関係者によれば、世界の経済専門機関や主要メディアでも「関税により輸入品価格が上昇し、その負担は最終的に米国消費者にのしかかる」という見方が多数派だという。
また米国は原産地を基準に関税を課すため、証明手続きが強化される見通しであり、輸出企業には厳密な準備が求められる。報告書では対応策として、関税対応型輸出戦略の策定、サプライチェーンの見直し、原産地証明体制の整備を提案。米国産原材料の比率を20%以上にすれば相互関税が免除されるため、それを前提とした製品設計や米国内OEM生産の拡大、他国市場への展開が代替案として挙げられた。
原産地証明では製造工程図、BOM、インボイスなどの詳細書類を用意し、形式的要件ではなく実質的な製造基盤の証明が決定的になる。韓国政府とaTは輸出支援策を並行展開しており、輸出バウチャー、輸出保険拡大、現地プロモーション支援に加え、「K-フード対米輸出障壁解消センター」運営や自由貿易協定(FTA)特恵関税活用の助言などで企業を支援している。
農林畜産食品部関係者は「今回の相互関税措置は一時的な保護主義にとどまらず、通商構造の再編を狙った動きだ。輸出企業は関税リスクに備えた戦略を練り、政府支援を積極的に活用すべきだ」と警鐘を鳴らした。
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