
OpenAIは次世代人工知能(AI)モデルGPT-5を8月8日に公開した。ユーザーはこの日から、無料、プラス、プロ、チームなどの各料金プランに応じて順次GPT-5を利用できる。
OpenAIが公開したGPT-5は、前世代のGPT-4と比べて文章作成やコーディング能力、正確性などが飛躍的に向上したのが特徴だ。サム・オルトマンOpenAI最高経営責任者(CEO)は、8月6日(現地時間)の事前オンラインブリーフィングで、「もしGPT-3が高校生、GPT-4が大学生と会話する感覚だったとすれば、GPT-5は博士レベルの専門家と会話する感覚だ」と述べた。
応答速度は劇的に向上し、「ハルシネーション(幻覚)」も減少した。ChatGPTチームのニック・タリー氏は「回答の質は高いのに、あまりにも速すぎて『本当に考えたのか』と疑ってしまう瞬間があった」と語った。また、アレックス・ボイテルOpenAI安全研究員は、「過去のGPTモデルでは、実際には完了していない作業を完了したと主張したり、存在しない画像を見たと報告した例があった」とし、「我々はこのような虚偽が発生する頻度を測定する評価方法を開発し、あらゆる状況で正直な応答ができるよう訓練した」と説明した。
自然言語のみでソフトウェアを開発するバイブコーディング技術もさらに洗練された。OpenAIがブリーフィングにて、英語ユーザー向けのフランス語学習ウェブサイトを作成するための8つの文章を入力すると、GPT-5は数秒で整然としたウェブアプリケーションを出力した。サイト内のボタンを押すとフランス語の単語が読み上げられ、ミニゲームも搭載されていた。OpenAI側は「300行のコードを含むもので、実際の開発者でも数時間はかかる作業だ」と強調した。
性能向上は各種指標にも明らかだ。ChatGPT5は、AIエージェントの活用度を測定する「タウベンチ」やコーディング能力を評価するPythonエージェンティックベンチマークにおいて、GPT-4やGPT-3を上回る成績を収めた。AIが一度に理解できる情報量を示す「コンテキスト・ウィンドウ」は最大256,000トークンに達し、GPT-4の2倍に拡大した。
ただし、OpenAIはGPT-5が汎用人工知能(AGI)のレベルには達していないと評価した。オルトマンCEOは「GPT-5の公開はAGIに向けた重要な一歩である」としつつも、「AGIの定義において非常に重要な要素がまだ欠けている」と述べた。
GPT-5の公開を受け、OpenAIの企業価値も急上昇している。この日、ロイター通信などによると、トライブキャピタルなどOpenAIの初期投資家は、OpenAIの元・現職社員が保有する株式数十億ドルを購入する案を検討している。現在、OpenAIは400億ドル規模の資金調達を進めており、企業価値は3,000億ドルと評価されている。株式売却が成立すれば、企業価値は5,000億ドルに跳ね上がり、イーロン・マスクの宇宙企業スペースX(4,000億ドル)を上回ることになる。
しかし、急激に高騰した企業価値にはバブル懸念も出ている。ディ・インフォメーションによると、今年初めから7月までの期間におけるOpenAIの年間売上は約120億ドルで、企業価値を5,000億ドルと仮定すると、売上の41.66倍を超えることになる。これは、メタ(15.96倍)、マイクロソフト(14.23倍)、アルファベット(6.39倍)などのビッグテックと比較しても著しく高い水準だ。
注目の記事