
7月の消費者物価発表と企業決算を控え、11日(現地時間)の米国株式市場は混合相場で取引を開始した。
米東部時間午前10時10分現在、S&P500種株価指数は6,391.38ポイントで前取引日とほぼ同水準で推移している。ハイテク株中心のナスダック総合指数は0.2%下落し、ダウ工業株30種平均は0.1%下げた。
10年物米国債利回りは4.283%と前回取引から横ばい、2年物国債利回りは3.77%と1ベーシスポイント(1bp=0.01%)上昇した。
半導体株が上昇傾向を示した。
時価総額首位の企業であるエヌビディアとAMDは、中国向けAIチップ輸出に関し米政府へ15%の収益を納付することで合意したとの報道を受け、寄り付き時は下落したものの、その後上昇に転じた。
マイクロン・テクノロジーは、AI向け高帯域幅メモリー(HBM)の需要が好調なことから「価格上昇」を見込み、売上高および1株当たり調整後利益の見通しを上方修正したと明らかにした。同社は売上高予想を従来の107億ドル(約1兆5,880億円)から112億ドル(約1兆6,620億円)に、1株当たり調整後利益予想を2.50ドル(約370円)から2.85ドル(約420円)にそれぞれ引き上げた。
トランプ大統領に辞任を要求されたインテルのCEO、リップ・ブー・タン氏が同日、トランプ大統領と会談し、中国との癒着疑惑を払拭するとの期待から、インテル株は約5%上昇した。
テスラは、英国の家庭用および企業向け電力市場参入に向け規制当局に事業認可を申請したとのニュースを受け、株価が3.4%上昇し、341ドル(約5万610円)で取引されている。
パラマウント・スカイダンスは77億ドル(約1兆1,430億円)規模でTKOグループから今後7年間のUFC独占放映権を取得したと発表し、株価は約11%下落した。AIソフトウェア企業C3.aiは業績不振と見通しの悪化から株価が約30%急落した。
今週発表されるインフレ指標は、過去最高値更新を狙う米国株式市場全体のムードにとって最大の障害となる可能性がある。12日発表の消費者物価指数(CPI)と14日発表の生産者物価指数(PPI)は、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)を前に金利動向を占う重要な材料となる見通しだ。
米エコノミストの間では、特にコアインフレ率が従来の0.2%上昇の範囲を超えた場合、株式市場の上昇ペースが鈍化すると予想している。
『ブルームバーグ』がエコノミストを対象に実施した調査によると、7月のコアCPIは前月比0.3%上昇すると予想されている。一方、6月までのコアCPIは概ね0.2%の上昇にとどまっていた。これは、小売業者が輸入関税を徐々に製品価格に転嫁し始めたためである。
フリーダム・キャピタル・マーケッツのグローバル戦略官ジェイ・ウッズ主席は「CPIは間違いなく金融政策に影響を与える」と述べた。なお、8月は連邦準備制度理事会(FRB)のFOMC会合の代わり、21日から23日にかけてワイオミング州でジャクソンホール会議が開催される。
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