イスラエル、ガザ地区への空爆を拡大…24時間で89人死亡
住宅・道路への爆撃…戦争開始以降の死者6万2,000人近くに
人道危機続く…子ども103人含む227人が餓死

ガザ地区の「完全制圧」を掲げるイスラエルが空爆を激化させ、過去24時間で少なくとも89人のパレスチナ人が命を落としたと、ガーディアンなど海外メディアが12日(現地時間)に報じた。
ガザ地区民防衛当局は、ベンヤミン・ネタニヤフ内閣がガザ地区占領拡大策を承認して以来、ここ3日間でイスラエル軍の空爆が激しさを増していると明らかにした。
イスラエル軍の猛烈な空爆により、11日から12日にかけて少なくとも89人のパレスチナ人の犠牲が確認された。
ガザ北部では、少なくとも15人が食糧配給を待つ列に並んでいる最中に犠牲となったとされる。
南部カーンユニス地域では、イスラエル軍の空爆で自宅にいた夫婦と子どもを含む5人が命を落とし、近隣のマワシ難民キャンプでも空爆により4人が死亡したと、現地救援当局が伝えた。
ガザ地区民防衛局のマフムード・バサル報道官は、ザイトゥンやサブラなどの人口密集地域にもイスラエル軍が空爆を行い、住宅や高層ビルに甚大な被害が出ていると述べた。
ガーディアンは、現地の多くの住民の証言を引用し、イスラエル軍の今回の空爆が近週間で最も激しいものだったと伝えている。
住民のアミール・サラ(25)氏はロイターに対し、まるで戦争が再開したかのような音がしたと語り、イスラエル軍の戦車が住宅に砲撃を加え、ミサイルが道路に落下したと証言した。
ガザ保健省によると、2023年10月7日以降のイスラエルのガザ攻撃で、パレスチナ人の死者は計6万1,599人、負傷者は15万4,088人に上るという。
イスラエル軍の厳しい規制によりガザ地区への支援物資の流通が滞り、栄養失調による死者数も増加の一途をたどっている。

ガザ保健省の発表によると、2023年10月の集計開始以来、飢餓による死者は227人に達し、そのうち103人が子どもだとガーディアンは伝えている。
ガザ地区への空爆の規模と強度は増しているものの、イスラエル地上軍がガザ市街地にさらに深く侵攻した形跡はまだ見られないという。
一方、イスラエルの空爆でアラブ圏の有力メディア、アルジャジーラの記者らが死亡したことを受け、現地の人権団体ヒンドゥーラザブ財団とパレスチナ人権センターは、イスラエルを国際刑事裁判所(ICC)に提訴する方針を明らかにした。
ガザ地区で取材中だったアルジャジーラ放送の記者、アナス・アルシャリフ氏を含む報道関係者5人が、10日のイスラエルの空爆で命を落とした。
犠牲となったアルシャリフ氏は、ガザ地区で活動するアルジャジーラ記者の中で最も知名度の高い人物だった。
イスラエル軍は空爆の事実を認めつつ、アルシャリフ氏がパレスチナ武装組織ハマスのメンバーだったとして、空爆は正当であると主張している。
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