トランプ政権、米国製ドローンの生産拡大に関する行政命令を発令
中国企業DJIのドローンが米国市場の90%を占有

米国のトランプ政権が、人工知能(AI)チップ市場を支配するエヌビディアと同様に、米国内ドローン市場の90%以上を占める中国企業への対応に苦慮している。
トランプ米大統領は6月の大統領令でドローンの海外依存を減らす方針を打ち出し、DJIなど中国メーカーを標的にした。
米国商務省の産業安全保障局は、自国の中国製ドローンに対する依存度調査に着手。該当製品が重大な安全リスクをもたらすと判断された場合、販売禁止も視野に入れている。
世界最大のドローンメーカーDJIは、米国商用市場で90%、世界全体でも70%のシェアを握っている。
米メディアのノースダコタ・モニターは、「やむを得ず」中国製ドローンを使用せざるを得ない農家の現状を報じた。
コリー・マセン氏は、17日にアイオワ州の都市クリア・レイクで開催された散布用ドローンのワークショップに参加し、「土地を買うよりも、農薬を買うよりも、中国製ドローンを買う方がずっと安い」と話した。
従来の農薬散布機は50万ドル(約7,387万2,522円)以上するが、散布用ドローンはサイズに応じて2万5,000〜6万ドル(約369万3,626円〜886万4,702円)で購入可能だ。

従来の散布機の農薬散布可能範囲が30mまでだったのに対し、ドローンは1回の飛行で6〜9mしか散布できないという欠点がある。
しかし、米国の農家は、散布用ドローンは価格競争力が圧倒的に高いため、購入すれば1年以内に投資額を上回る効果が得られると見込んでいる。
昨年米議会で可決された国防権限法によると、産業安全保障局が中国製ドローンメーカーを国家安全保障上の脅威になると判断した場合、今年12月から米国内での使用が禁止される予定だという。
米国散布用ドローン連合のエリック・リンガー会長は、「市場で入手可能な最高品質のドローンは中国製だというのが現実だ」と述べた。
DJIは米国裁判所に国防権限法に関する異議を申し立てているが、すでにフロリダ州やミシシッピ州など一部の州では、公共機関による中国製ドローンの購入を禁止している。
特に、ウクライナ戦争でドローンが「ゲームチェンジャー」としての役割を拡大する中で、中国製ドローンへの警戒がさらに高まっている。
ドローンは「低コストの大量殺傷兵器」と化し、中国製ドローンは「安全保障上の火薬庫」だと米専門家は指摘している。
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