
8月18日(現地時間)、米ワシントンのホワイトハウスで行われた米大統領ドナルド・トランプ氏とウクライナ大統領ウォロディミル・ゼレンスキー氏の首脳会談では、記者の質問に応じる中で、2月の「外交惨事」と対照的に和やかな雰囲気が強調された。
6カ月前に同じ場所で開かれた首脳会談は激しい口論の末に早期終了したが、停戦交渉の転機となったこの日の会談では両首脳が一変した姿を見せた。
和やかな空気はゼレンスキー氏がホワイトハウス西棟の正門に到着した時点から演出された。トランプ氏は車から降りる前に手を挙げて軽く挨拶し、降車したゼレンスキー氏と握手して肩や背中に手を添え、親しみを示した。
ゼレンスキー氏は黒のスーツで会談に臨んだ。2月には軍服姿で臨み、右派系メディアの記者から「なぜスーツを着ていないのか」と皮肉を受けた経緯があり、この日は礼儀を重んじる姿勢を見せた形だ。当時質問したグレン記者は今回「スーツ姿がよく似合う」と称賛。トランプ氏が「彼が前回あなたを批判した記者だ」と述べると、ゼレンスキー氏は笑みを浮かべ「覚えている」と応じ、記者は謝罪した。その後、ゼレンスキー氏が「あなたは同じスーツだね。私は着替えたのに」と冗談を飛ばすと、トランプ氏は大笑いした。
会談冒頭、ゼレンスキー氏は妻のオレーナ夫人がトランプ氏の妻メラニア夫人に宛てた手紙を渡すなど、心情を込めた外交ジェスチャーを見せた。ゼレンスキー氏が「これは大統領ではなく夫人への手紙だ」と説明すると、会場から笑いが起きた。さらに、メラニア夫人がウクライナ戦争の被害を受けた子どもたちを気遣う手紙をプーチン露大統領に送ったことにも言及し、繰り返し感謝の言葉を述べた。冒頭発言では、トランプ氏の招待に対し6回も感謝を表明した。
約27分にわたり公開された会談で、トランプ氏はゼレンスキー氏の腕に触れ、目を合わせて話すなど親近感を示した。ウクライナ支援に関する質問に自ら答えた後にはゼレンスキー氏にも発言を促すなど配慮も見せた。
また、欧州首脳との多国間会議でもゼレンスキー氏に気を配った。発言の順番を譲ろうとしたが、ゼレンスキー氏の席にマイクがなかったため「こちらに来て話すか、私のマイクを使ってもいい。好きにすればいい」と提案した。ゼレンスキー氏は「マイクなしで大丈夫だ」と述べ、振り返って発言。「間違いなく最高の対話だった」と強調した。
2月の会談でゼレンスキー氏と口論になった米副大統領JD・バンス氏は、この日の公開セッションでは終始沈黙を守った。
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