
北大西洋条約機構(NATO)の軍首脳部は20日、テレビ会議を開き、ウクライナの安全保障策を協議した。だがロシアは「自国を排除した議論は幻想だ」と強く反発し、構想は出だしから暗雲が漂っている。
NATO軍事委員長のジュゼッペ・カボ・ドラゴーネ氏は会議後、X(旧ツイッター)で「建設的で率直な議論を行い、ウクライナ支援の立場を再確認した」と述べた。32カ国の国防相が参加し、欧州主導のウクライナ安全保障構想を具体化する方策が中心議題となったとみられる。
欧州の同盟国は、和平協定後に多国籍軍を創設する案を検討中で、英国やフランスが主導する有志連合が軸になると予想される。さらに、欧州メディアは「韓国型緩衝地帯」、すなわち朝鮮半島の軍事境界線のように国境付近に部隊を配置する構想も報じている。
ただ、米国の関与は不透明だ。トランプ大統領は「米軍派遣はない」と強調し、ウクライナのNATO加盟も否定した。ただし、欧州が部隊を送る場合は空軍による支援が可能との考えを示した。
一方、ロシアのラブロフ外相は「ロシア抜きの議論はユートピアにすぎない」と批判し、中国や米国、英国、フランスなどを含めた枠組みでのみ受け入れると主張した。これは事実上、欧州とウクライナの構想に対する「拒否権」を突きつけた格好だ。
米国はロシアが一定の歩み寄りを見せたと説明していたが、ラブロフ氏の発言は強硬姿勢が揺らいでいないことを浮き彫りにした。ポリティコ欧州版は「ロシアの立場は依然として硬直している」と分析している。
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