中国の脅威に直面…軍事訓練を強化するフィリピンと人工島を造成するベトナム
南シナ海の領有権争いが一層激化

南シナ海の領有権を巡って中国と対立するフィリピンとベトナムが、米国・オーストラリア・フランスなど西側諸国と連携し、「対中包囲網」を強化している。フィリピンのギルバート・テオドロ国防相とオーストラリアのリチャード・マルズ国防相は23日、首都マニラで会談し、防衛協力を強化する協定を締結することで合意した。
両国の国防相は共同声明で「南シナ海で中国がフィリピン船舶を標的とする危険かつ強圧的な行為を続けていることに深刻な懸念を表明する」と述べ、「2016年に常設仲裁裁判所が下した判決の効力と、この地域における航行の自由の重要性を改めて確認した」と強調した。
この会談は、両国が15日から29日まで南シナ海で過去最大規模の合同演習を実施する中で行われた。演習には兵士3,600人以上が参加し、F/A-18戦闘機やC-130輸送機、対戦車兵器を投入して上陸作戦や実弾射撃を行った。
南シナ海でのフィリピンと中国の対立は激化している。21日には係争海域のセカンド・トーマス礁周辺で中国海警が放水銃を使用して威嚇した。13日には米海軍のイージス駆逐艦ヒギンズや沿岸戦闘艦シンシナティが通過した際、中国海軍が出動して退去を要求した。さらに11日には中国海警船がフィリピン海警船を追跡する途中、自国の海軍艦艇と衝突する事態が発生した。
2022年6月に就任したフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領は、前任のロドリゴ・ドゥテルテ大統領の親中・反米路線を転換し、強い親米・反中外交を進めている。最近も「中国が台湾に侵攻すれば、我々も関与せざるを得ない」と発言し、中国側は「火遊びはやめるべきだ」と反発した。両国間の緊張は一段と高まっている。
フィリピンと台湾の間に位置するルソン海峡は、中国が太平洋へ進出する上での戦略的要衝であり、この海域にはフィリピン領の島々が点在している。そのためフィリピンは中国の台湾侵攻を自国の安全保障に対する脅威とみなし、台湾に近いルソン島周辺に米軍のタイフーン・ミサイルシステムを配備した。
一方、ベトナムも人工島の造成を通じて中国との領有権争いで主導権を握ろうとしている。米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は最近の報告書で「南シナ海のスプラトリー諸島(中国名:南沙諸島、ベトナム名:チュオンサ諸島)において、ベトナムが新たに8つの人工島を造成しており、その規模は中国を追い越す勢いだ」と指摘した。
ベトナムは従来、中立的な実利外交を掲げてきたが、近年はかつて対立した西側諸国との軍事協力を強化し、中国を牽制している。
今年5月にはエマニュエル・マクロン仏大統領がベトナムを訪問し、防衛やエネルギー分野を中心に14件の協力協定を締結した。旧宗主国フランスはインド太平洋地域にニューカレドニアなど5つの海外領土を有しており、南シナ海で中国をけん制する狙いがあるとみられている。昨年末にハノイで開かれた国際武器展示会では、ファム・ミン・チン首相らがロッキード・マーチンやボーイングなど米国防産業大手のブースを視察した。
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