
36年連続で国内総生産(GDP)全国1位の座を維持してきた広東省が、米中貿易戦争の影響により深刻な景気後退に直面しているとの分析が出た。
『フィナンシャル・タイムズ(FT)』は25日(現地時間)、広東省内の多くの工場が空室状態にあり、周辺の飲食店や事業者も経営難に陥っていると伝えた。FTは「外国投資の試金石として急速に発展してきた広東省経済が苦境に立たされている」と述べ、「ドナルド・トランプ米大統領が引き起こした貿易摩擦により、単純製造業の構造的衰退と消費者心理の悪化が加速している」と分析した。
広東省は中国で最初に開放された地域であり、1989年以降、全国GDP1位の地位を守り続けている。北京・上海に並ぶ中国三大都市の一つである広州が省都であり、経済特区第1号としてテンセントなど数多くの大企業本社が所在する深圳も主要都市として挙げられる。これまで香港との地理的近接を活かし、輸出主導の経済政策を推進して飛躍的な成長を遂げてきたが、米中貿易戦争の勃発により高い輸出依存度が足かせとなっているとの見方が出ている。昨年の広東省の輸出額は5兆9,000億元(約121兆7,044億3,973万6,706円)で、地域全体GDP(14兆1,633億元、約292兆1,587億2,734万2,862円)の40%を占める。米国の投資会社ナティクシス・グローバルの主任エコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ氏は「広東省の企業は貿易戦争の真っ只中にある」と述べ、「その影響は甚大になるだろう」と予測した。
広東省経済は、既に2020年代初頭から異常な兆候を示していた。新型コロナウイルスのパンデミックによるロックダウンと不動産市場の低迷により、広東省のGDP成長率は2022年が1.9%、2023年が4.8%、2024年が3.5%と、それぞれ目標値の5.5%、5%、5%を下回った。省内21都市のうち、昨年の全国平均経済成長率(5.0%)を上回ったのは深圳(5.8%)のみで、広州は2.1%、家電製品や家具の生産地として知られる仏山は1.3%、玩具製造の聖地として知られる汕頭はわずか0.02%の成長にとどまった。
FTは「関税賦課以前から、不動産市場の低迷や内需の不振などの要因が広東省に打撃を与えていた」と指摘し、「米国の貿易攻勢により成長見通しはさらに深刻に悪化するだろう」と予測した。
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