習近平主席、SCO出席に合わせ各国首脳と会談 「相手国に応じた発言」
カンボジア首相、オンライン賭博・通信詐欺など越境犯罪への共同対処で一致
エジプト首相、グローバル・サウスの主要国と連携し一方主義・覇権主義に反対
グテーレス国連事務総長、中国が国連の中心的役割を支持と表明

中国の習近平国家主席は30日、上海協力機構(SCO)首脳会議を前に天津に到着した各国首脳と立て続けに会談した。
習主席はカンボジアのフン・マネット首相との会談で、変化する国際情勢の中で中国とカンボジアは「強固な友人」として互いの成功のために緊密に協力し、両国民の福祉を向上させ、地域の平和・安定・繁栄に貢献していくべきだと強調した。
その上で、近年問題となっているオンライン賭博や通信詐欺など国境を越えた犯罪への共同対処にも意欲を示した。
これに対し、マネット首相は「国際情勢がどう変化しようとも、中国への友好政策に専念している」と応じた。
また習主席はエジプトのモスタファ・マドブーリー首相との会談で、両国はグローバル・サウスの主要国として歴史的使命と責任を担っていると述べ、一方主義や覇権的な行為に共同で反対すべきだと訴えた。
マドブーリー首相は、来年の国交樹立70周年を控え、中国を真のパートナーであり友人と位置づけ、二国関係をさらに発展させたいと述べた。
インドのナレンドラ・モディ首相も天津に到着した。モディ首相の訪中は2018年以来7年ぶりで、日本訪問を終えての中国入りとなった。トランプ米政権による50%の相互関税で米印関係が悪化している最中の訪中とあって、注目を集めている。
習主席はアントニオ・グテーレス国連事務総長との会談では、「中国は常に国連の信頼できるパートナーであり続ける」と表明した。さらに「国連との協力を強化し、国連が国際問題で中心的な役割を果たすことを支持し、世界の平和を守り、発展と繁栄を促進する責任を共に担う」と強調した。
中国国営の新華社は、この日、ミャンマーのミン・アウン・フライン国軍最高司令官(大統領代行)、ネパールのK.P.シャルマ・オリ首相、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領らも相次いで空港に到着したと報じた。
31日から2日間にわたり天津で開かれる今回の首脳会議には、これらの首脳をはじめ20カ国以上の首脳や国際機関の関係者約10人が出席する。
SCOは1996年、中国とロシア、カザフスタン、タジキスタン、キルギスの5カ国が国境管理などを目的に結成した「上海ファイブ」が発端となった。2001年にウズベキスタンが加わり、6カ国を創設メンバーとしてSCOへと移行した。
当初の上海ファイブおよびSCOは、ソ連崩壊後の中央アジアにおいて権力の空白が生じる中、「分離主義、テロリズム、イスラム過激主義」という「3つの悪」への共同対処や国境の安定、地域安全の強化を主要課題としていた。
その後、2017年にインドとパキスタン、2023年にイラン、2024年にベラルーシが加盟し、現在の加盟国は10カ国に拡大した。さらにモンゴルとアフガニスタンのオブザーバー2カ国、アゼルバイジャンなどの対話パートナー14カ国を含め、全体で26カ国が関与する。
インドやイランの加盟拡大には、中国の影響力の過度な拡大を牽制しようとするロシアの思惑もあったとみられる。しかし、ウクライナ戦争で米ロが対立し、トランプ政権の通商政策で米中、米印関係が緊張する中、今年のSCOはロシア、中国、インド、イランが対米牽制の陣営を築く場になるとの見方が出ている。
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