原油の「顧客」との関係強化か戦争の同盟国確保か···プーチンのSCO参加の狙い

ウラジーミル・プーチン露大統領が、上海協力機構(SCO)首脳会議と中国の抗日戦争勝利80周年記念式典に出席するため、31日(現地時間)に中国・天津に到着した。欧米によるロシア・ウクライナ戦争の停戦を強く迫る中、プーチン大統領は今回の訪中で、ロシア産原油の主要顧客である中国やインドとの関係強化、さらには反欧米連携の強化を図る狙いとみられる。
中国中央テレビは、プーチン大統領が当日午前、副首相3人や閣僚約10人、大企業の代表らと共に航空機でSCO首脳会議が開催される天津に到着したと報じた。なお、プーチン大統領の訪中は、昨年5月の国賓訪問以来、約1年3カ月ぶりとなる。
SCO期間中、プーチン大統領はトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、イランのマスウード・ペゼシュキヤーン大統領など、約10カ国の首脳と二国間会談を行う予定だ。エルドアン大統領とはウクライナ戦争および中東問題、ペゼシュキヤーン大統領とはイランの核開発計画について主に協議するとみられる。
また、ロシア産原油の主要輸入国であり、経済規模および人口大国である中国やインドとの関係強化も図る狙いとみられる。中国税関総署のデータによれば、今年1~7月の中露間の貿易額は前年同期比8.1%減少している。ウクライナ戦争開始後に急増した両国間の貿易が、減少に転じた形だ。ロイター通信は複数の情報筋の話を伝え、プーチン大統領がSCOを機にこの傾向を反転させようとしていると報じた。
一方、インドは米国からロシア産原油の輸入を理由に合計50%の関税を課された後、米国との距離を置いている。東アジア専門家のリム・タイウェイ創価大学教授は「ロシアはインドを反欧米連携に引き込むのに熱心だ」と述べ、「インドと米国間の貿易摩擦がこうした機会を提供している」とAFP通信に語った。
ナレンドラ・モディ印首相がプーチン大統領に対し、ウクライナ戦争の停戦問題を提起するかどうかも注目される。インド首相府によると、モディ首相は30日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との電話会談で、ウクライナの平和的解決への支持を再確認している。ゼレンスキー大統領は会話後、「インド首相が停戦の必要性という考えを支持したのは重要だ」と述べ、「この点が中国で開催される会議で明確に伝えられることを望む」とコメントした。ただし、インド首相府の声明には、モディ首相が停戦を促したという内容は含まれていなかった。
ロシアはウクライナのエネルギー関連施設への攻撃を続けている。ロイターによれば、ロシアは30日夜、ウクライナ南部オデーサの電力施設などを無人機で攻撃し、約2万9,000人の住民が停電の被害を受けた。
同日、ワレリー・ゲラシモフ露軍参謀総長は、今年3月以降ウクライナで3,500平方キロメートル以上の領土を占領し、149の村を制圧したと発表した。これに対し、ウクライナ軍参謀本部は声明を発表し、「ロシア軍はいかなる主要都市も完全には制圧しておらず、占領者が示した数字は大幅に誇張されている」と反論した。
コメント0