アメリカの観光業界では、ドナルド・トランプ政権への不満が高まっている。彼らは関税政策や移民取締りの強化など、トランプ政権による誤った政策の影響で業界の収益が急減していると主張している。

現地時間先月31日、CNNは「多くのカナダ人が春から米国旅行や米国製品の購入を控えている」と報じ、カナダ人だけでなく他国からの旅行者も関税や移民政策を理由に米国離れを起こしていると伝えた。
カナダ人は、昨年、米国を訪れた外国人観光客の約28%を占め、米観光業界を支える重要な存在だ。しかし、トランプ大統領は就任前から「アメリカの51番目の州になってはどうか」といった発言を繰り返し、25%の関税課税とその猶予を繰り返すことで、カナダ国内の反米感情を煽ってきた。
旅行分析会社ツーリズム・エコノミクスによると、今年の米国を訪れる外国人観光客数は前年比8.2%減少すると予測されている。昨年末は9%増を見込んでいたものの、今年1~7月のカナダ人訪問者数が前年の約4分の1に減少したため、予測を下方修正した。
シアトルで徒歩のツアーを提供するジョー・コエネン氏は、今年の顧客数が例年比30%減少し、事業が大きな打撃を受けているとCNNに語った。従業員への給与支払いも辛うじて維持しており、2021年の会社買収以来初めて自己資金を事業維持に投入しているという。コエネン氏は「カナダ人からツアーのキャンセル依頼が相次ぎ、その理由はトランプ大統領の政策と行動だと説明された」と述べた。
同じくシアトルでグルメツアー会社を経営するジョン・ブリンク氏も、今年はカナダ人顧客が50%減少したと明かした。米国クルーズ船の乗客がある程度穴埋めしているものの、「トランプ大統領の関税や政治的レトリックがなければ、もっと多くの収益を上げられたはずだ」と語った。
米西部地域も例外ではない。カリフォルニア州サンタモニカに本社を置くサーフシティツアーのアダム・デュフォード代表は、「春休みはおろか、メモリアルデー(戦没者追悼記念日)でさえ客が来なかった」と述べた。今年の売上は49%減少し、その主な原因として今年初めのLAでの火災や移民取締り反対デモに関するデマを挙げた。オーランド観光局も、5月にオーランド行きのカナダ発便が大幅に減少し、4月以降のホテル予約も著しく低下したと発表している。
外国人観光客は、米国の代わりに、観光客に優しい他国を選んでいる。英国出身のロブ・ホーキンス夫妻も、来春20日間の米国旅行を計画していたが、代わりに韓国と日本を訪れることに決めた。ホーキンス夫妻は、トランプ政権が移民対策としてロサンゼルス(LA)やワシントンD.C.に州兵を派遣したことなどを理由に挙げていた。
米国の観光業界は、しばらく厳しい状況が続くと見られている。米国商務省傘下の国家旅行観光局(NTTO)によると、昨年の海外観光客数は7,240万人で、パンデミック前の2019年水準の91%にとどまった。ツーリズム・エコノミクスは、業界がパンデミック前の水準に回復するのは当初の予想より3年遅れの2029年になると予測している。
世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)のジュリア・シンプソン会長は声明で、「世界最大の旅行・観光経済が誤った方向に進んでいるのは、需要不足ではなく、適切な対応ができなかったためだ」と述べ、「他国が観光客を歓迎する中、米政府は『締切』という看板を掲げている」と批判した。
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