
パキスタンと国境を接するアフガニスタン東部地域を、マグニチュード6.1の地震が襲い、現時点で少なくとも821人の死者が確認されている。米ワシントン・ポスト(WP)など海外メディアは1日(現地時間)、「アフガニスタンを統治する『ターリバーン』が、東部地域で発生した地震により800人以上が死亡し、2,800人以上が負傷したと発表した」と報じた。
米地質調査所(USGS)によると、今回のマグニチュード6.1の地震は先月31日の深夜、ジャラーラーバード郊外約27km地点で発生したという。ジャラーラーバードを含むナンガルハール州および近隣のクナル州、ラグマーン州で大きな被害と死傷者が報告された。また、この地震は隣国パキスタンやアフガンの首都カブールを含む広範囲で感じられ、最初の地震後、マグニチュード4.5~5.2の余震が5回連続で発生した。

被害が最も甚大なジャラーラーバードは、アフガニスタンで5番目に大きな都市で、人口は20万人を超える。また、クナル州は日常的に地震や洪水が発生する地域として知られている。ターリバーンの報道官によると、クナル州だけで少なくとも800人が死亡、2,500人が負傷し、ナンガルハール州でも12人が死亡、255人が負傷したという。
アフガンの軍用ヘリコプターで撮影された映像では、複数の村が地震の衝撃で完全に破壊され、廃墟と化している様子が映し出されている。アフガン当局は生存者を捜索するため、泥と石造りの家屋を撤去しながら活動を続けているが、道路事情の悪い僻地でも被害が報告され、全体の死傷者数はさらに増加すると見られる。

被災地域は山岳地帯にあり、接近が極めて困難で、既存の道路も土砂崩れにより遮断されている。ターリバーン政権はヘリコプターを活用し、住民の避難を進めている。国際連合人道問題調整事務所(UNOCHA)の初期評価によれば、地震の震源が約10kmと浅く、山岳地形のために崩壊した土砂や岩石が村を覆い、被害が拡大したと分析されている。
国連は、最大で1万2,000人が今回の地震で直接被害を受けたと発表した。国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)のジョイ・シンガル代表(Joy Singhal)は、WPに対し、「地震直後に救助活動は開始されたが、土砂崩れにより多くの道路が通行不能となり苦戦している。地域によってはボランティアが最大4時間も歩かなければならない」と述べた。
地震で家族を失った住民は呆然とした表情で葬儀の準備を進めている。イスラムの伝統では、亡くなった者をできるだけ早く埋葬することが求められるが、遺体の回収さえままならず、絶望感が募っている。現地でボランティアとして活動する社会福祉士のイクラム・マモンド氏(Ikram Mamond)はWPに対し、「ある男性が地域の役員に、母親と妻、そして5人の子どもの葬儀支援を懇願しているのを目撃した。現在、被災地各所に遺体が散乱している」と語った。
クナル州の住民は「地震からかろうじて生き延びたが、村の多くの家が倒壊した。聞こえた悲鳴は言葉では表現できない。まだ村には救助されていない犠牲者が大勢いる」と証言している。WPは「今回の地震は、耐震性のある家を建てる余裕のない地域を襲った。倒壊した住居のほとんどは斜面に建つ粗末な泥造りの建物だった」と報じている。
アフガニスタンでは、2022年と2023年を含め、致命的な地震が頻発している。これまでの2度の地震で1,000人以上が命を落としている。特に今回の地震が発生したアフガン東部地域は、世界で最も地震活動が活発な地域の一つとされる。英国地質調査所の地震学者ブライアン・バプティ氏(Brian Baptie)によれば、アフガン東部は複雑な断層系により、1900年以降、マグニチュード7を超える大地震が12回発生しているという。

アフガニスタンは長年の内戦、ターリバーンによる強圧的統治、そして深刻な経済危機により、地震への備えが全く整っていなかった。さらに、過去12か月間に国際支援国が援助予算を大幅に削減したため、保健危機は一層悪化している。WPは「米トランプ政権が今年、米国支援の人道・経済プロジェクトをほぼ全面的に削減したことが、アフガニスタンにとって最も深刻な打撃となった」と指摘している。
人道支援団体「CARE」のアフガニスタン支部長、グレアム・デイヴィソン氏(Graham Davidson)は声明で、「今回の地震は既に深刻な人道危機に直面し、国際的な支援が不足しているアフガニスタンを襲った。アフガン人口のほぼ半数にあたる2,300万人が既に人道支援に依存している一方で、人道対応計画(HRP)の資金はわずか28%に過ぎない」と懸念を表明した。
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