「トランプコイン」WLFI、取引初日は値下がりで終了
トランプ一族、50億ドル(約7,400億円)の資産を確保
ドナルド・トランプ米大統領の家族が主導する暗号資産「ワールドリバティファイナンシャル(WLF)」コインが、1日(現地時間)に市場デビューした。取引初日には急騰の後に下落し、不安定なスタートとなったが、トランプ一族は事前に計画された内部取引によって数千億円規模の現金を確保したとみられる。現地メディアは、現職大統領の家族がこうした事業に関与することについて「前例のない利益相反だ」と厳しく批判している。
ブルームバーグによれば、WLFが発行した「$WLFI」トークンは、バイナンスやOKXなど世界の主要暗号資産取引所に一斉に上場された。WLFIは取引開始直後に1枚20セント(約29円~32円)台から40セント(約59円)まで急騰したが、その後売りが殺到し、22~24セント(約32〜35円)台で取引を終えた。

取引成績自体は振るわなかったものの、トランプ一族は全発行量1,000億枚のうち約22.5%にあたる225億枚を保有し、巨額の「簿価資産」を手にした。当日の終値ベースでその規模は約50億ドル(約7,400億円)に達し、これは一族が長年築いてきたホテルやゴルフ場などの不動産資産価値を上回る水準である。
さらにトランプ一族は、$WLFIの市場取引とは無関係に現金を得られる仕組みも構築していた。WLFはトークン上場前にナスダック上場企業Alt5 Sigma(アルト5シグマ)と特別な関係を結び、共同創設者のジャック・ウィットコフ氏が昨年8月にAlt5の会長に就任し、大統領の次男エリック・トランプ氏も取締役に加わった。経営権を掌握した彼らは、Alt5が15億ドル(約2,200億円)を投じてWLFIトークンを買い取るよう決定し、その売上の75%がトランプ一族所有の法人「DT Marks DEFI」に分配される契約を結んでいる。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、この金額が数億ドル規模に達すると見積もっている。
米国内のメディアや政界では、現職大統領の家族が暗号資産事業に直接乗り出し、しかも大統領自身が関連規制を緩和する法案に署名する状況を「深刻な利益相反」として批判する声が高まっている。民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員らは「大統領家族の金銭的利益が暗号資産規制に直接影響を及ぼす恐れがある」と警告しているが、ホワイトハウスは一連の疑惑を否定した。
米証券取引委員会(SEC)元弁護士のジョン・リード・スターク氏は「かつてはこうした関係を隠そうとしたものだが、今や大統領家族がそれを勲章のように誇っている」と批判。実際、トランプ・ジュニアは同日、自身のSNSで「これはミームコインではなく、資金の流れを根本から変える本物のエコシステムの中核だ」と投稿し、WLFIの上場を祝福した。
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