
中国の習近平国家主席は、上海協力機構(SCO)首脳会議と「中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年記念」閲兵式を反米連帯勢力の結束の場として活用している。習主席はSCOに安全保障脅威対応機構と開発銀行を設置し、協力レベルを一段と高める意向を示した。
1日、習主席は中国・天津で開催されたSCO首脳理事会第25回会議を主宰し、「安全保障上の脅威や課題に対応する総合センターと麻薬対策センターを早急に稼働させ、SCO開発銀行を設立して加盟国の安全保障・経済協力により大きな支援を提供する」と述べた。会議にはロシアのウラジーミル・プーチン大統領やインドのナレンドラ・モディ首相らが出席した。
特に習主席は加盟国向けの資金支援計画も発表した。彼は「中国は必要とする加盟国に対し100件の『小さくても美しい』民生プロジェクトを実施する計画だ」とし、「年内に20億元(約414億1,311万円)を無償援助し、今後3年間で銀行連合体加盟銀行に100億元(約2,070億6,555万円)の新規融資を行う」と強調した。
習主席のこの発言は、SCOを米国中心の秩序とは異なる協力と合意の場として際立たせると同時に、これを基盤に国際社会における中国の影響力拡大を図る動きと解釈される。前日の歓迎晩餐会で習主席が、SCOとグローバルサウス(主に南半球に位置する新興国)は力を合わせるべきだと強調したのも、同様の文脈と見られる。

プーチン大統領もこの場で、グローバルサウスに代表される新秩序の確立を主張した。プーチン大統領は「ウクライナの危機はロシアの攻撃によって発生したのではなく、ウクライナの首都キーウで西側が主導したクーデターによって発生したものだ」と述べたと、サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が伝えた。さらに、欧州と北米に焦点を当てた世界秩序が「真に公正なシステム」に取って代わられつつあるとし、SCOの役割を強調した。
SCO首脳会議などを機に中国を訪れた世界の首脳たちが、米国のドナルド・トランプ大統領への不満を求心点として結束を強化していると、ワシントン・ポスト(WP)が報じた。ジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院(SAIS)のカーラ・フリーマン外交政策研究所長はWPに対し、SCO加盟国はそれぞれの課題を抱えているが、現在は「共通の目標というよりも米国への不満で団結している」と説明した。WPは「SCOは、徐々に多極化する世界において米国の予測不可能性を牽制する均衡力であり、信頼できるパートナーとして位置づけようとする中国の取り組みの核心部分だ」と指摘した。

SCO首脳会議を終えた後、反米の熱気は北京の天安門広場へと場所を移す。3日、戦勝80周年閲兵式が天安門で盛大に行われる。北朝鮮の金正恩国務委員長も閲兵式に参加し、北朝鮮・中国・ロシアの首脳が揃う光景が演出されると見られる。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は「これは新冷戦構図の決定的な場面として記録されるだろう」とし、「中国が今や金委員長とプーチン大統領を率いる『スターリン的役割』を自任している」という専門家の見方を紹介した。
中国の閲兵式では、日本はもちろん、西太平洋の米領グアムを越えて米本土まで射程に収める「東風(DF)」系列のミサイルが大々的に公開されると予想される。2019年の閲兵式で初お目見えした大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「東風-41」は、射程が最大1万4,000kmに達し、米国の首都ワシントンを含め地球上のほぼすべての標的を攻撃できるとの評価が出ている。このほか、中距離弾道ミサイル(IRBM)の「東風-26」の改良型である「東風-26D」、射程2,500kmの「東風-17」なども披露されると見られる。
また中国当局は閲兵式を前に「共産党の勝利」を強調している。10年前に初めて戦勝節に閲兵式を開催した際、国共合作により「中国と台湾が日本の侵略に対して共に戦った」点を強調したのとは対照的だ。中国のこうした歴史の書き換えは、台湾と南シナ海一帯における自国の領有権主張を強化しようとする意図が働いているとNYTは伝えた。
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